2011 Fiscal Year Annual Research Report
平城遷都1300年祭の社会的せめぎあいとポリティクス
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22530560
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Research Institution | Nara Prefectual University |
Principal Investigator |
遠藤 英樹 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (00275348)
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Keywords | せめぎあい / ポリティクス / 観光 / 地域 |
Research Abstract |
奈良の平城京へ遷都してから、2010(平成22)年で1300年であった。これを記念して、奈良県は平城遷都1300年祭を企画し実施した。本研究の目的は、この平城遷都1300年祭をめぐる国内外や奈良県地域内における、社会的せめぎあいとそのポリティクスをとらえつつ、そこに内在する社会的・文化的・政治的・経済的位相を明らかにすることにある。 2011(平成23)年度前半では、前年度に不可避な理由でどうしても実施することができなかった、平城遷都1300年祭に関わる人びとを対象にインタビューを継続した。 また2011年度には、平城遷都1300年祭が終了してから、これらに関与した人びとがどのような想いを抱くようになったのかを浮彫にしようとした。そのため再度、この事業に関わった奈良県内の多様な社会的ポジションにいる人びとを対象にインタビューを実施しながら、この事業を経ることで、相互の関係性の構造がどのように形を変えていきつつあるのかを考察した。さらに2011度後半においても、奈良観光客を対象に質問紙調査を実施し、その中で、観光客が奈良をどのように眼差すようになっているのかを明確にしようとした。 市民グループ、産業界、行政、寺社など、地域における多様なポジションの人びとは、様々な星々が集まりせめぎ合いながら夜空に一つの星座をかたどるように、相互の利害関心がせめぎあい「欲望の星座」ともいえる地域空間をかたどっている。平城遷都1300年祭がこの「欲望の星座」をどのように動かしていくのか。平城遷都1300年祭を経ることで、地域には新たにどのようなポリティクスが生まれつつあるのかを理論的かつ実証的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献研究、インタビュー調査、質問紙調査など、予定していた研究項目については、ほぼ予定通り進行しており、特に遅れているものが見当たらない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度に不可避な理由でどうしても実施することができなかったインタビューを継続する。本年度において、「平城遷都1300年祭の社会的せめぎあいとポリティクス」に関する分析を完成しうることになるが、その成果を諸学会、ワークショップ、研究会等で積極的に発表する。さらに学会誌に投稿し、最終的に学術書あるいは学術研究報告書の形で公表する。このように研究成果を明確な形にしていくことが、最終年度の重要な作業となる。
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