2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢社会における福祉ネットワークの研究-日韓比較からみる市民的協同のあり方-
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22530561
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
魁生 由美子 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (70331858)
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Keywords | 超高齢社会 / 日韓福祉交流 / 市民的協同 |
Research Abstract |
平成23年度は、東日本大震災の発生により、日本および韓国の社会福祉交流事業にも影響が及ぶこととなり、当初の研究計画に変更を行った。 (1)9月に気仙沼市を拠点として、被災地の福祉調査を行った。この福祉調査は、本研究で継続的な協力を得ている阪神共同福祉会を中心としたメンバーからなるチームで、被災後の地域福祉活動の状況について自治体、ボランティア組織、社会福祉法人を対象とした聞き取り調査を行った。平成23年3月に行った韓国慶尚北道安東市のハンセン生活施設である社会福祉法人星座苑は、東日本大震災の被災地である宮城県に位置する国立療養所東北新生園の居住者が組織する自治会に対して義援金を寄贈したが、本研究の研究代表者が逐次翻訳を行い、両施設の交流の支援を行った。東北新生園には80代の在日コリアン高齢者が居住しており、東日本大震災を契機として、日韓のハンセン施設の交流が始まった。 (2)12月に行った韓国社会福祉調査においては、ソウル市とプサン市の集住地区で市民生活の支援活動を行う組織を訪問し、キーパーソンの協力を得て、聞き取り調査と資料収集を行った。ソウル市の社会福祉法人恩平天使園の理事長である趙奎煥理事長、李應務名誉副会長に、同社会福祉法人の来歴と近年の活動についてご教示いただいた。プサン広域市健康家庭支援センター韓東希センター長には健康家庭基本法のもとで対応する家族問題についてご教示いただいた。また、日本をはじめアメリカ等、各国の研究者、実務家と共同で行っている研究プログラムについてもご紹介いただいた。 (3)1月に聖公会生野センターのデイサービス事業「のりばん」に参加し、最近の活動について聞き取り調査を行った。 (4)3月に阪神共同福祉会のメンバーを中心とする阪神間の実務家と共同で研究会を行った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年は、東日本大震災に対する韓国からの支援活動が活発化し、当初予定していた研究計画を変更して調査等を行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度である平成24年度は、平成23年度から継続して、大震災に対応した日韓の福祉交流についても調査を進めていく。また、それぞれ特定の地域に密着して行われている在日コリアン高齢者を対象とする生活支援の諸活動が、後期高齢者へとさらに高齢化が進む中で、どのような変化が生じるのか、引き続き国内における調査研究を進める。 高齢化の進展にタイムラグを有している日本の高齢者支援と韓国の高齢者支援が、いかに知見を共有し、超高齢社会の高齢者支援の工夫を蓄積しうるのか国外における調査研究を補足的に行うとともに、日本と韓国で近年公表された福祉国家論および福祉社会論について文献研究を行い、調査によって収集したデータと架橋させる形で、研究成果の公表を行う。
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