2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化とポスト近代化における職場管理―コールセンターを対象として
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22530564
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
高木 裕宜 文京学院大学, 経営学部, 准教授 (60383311)
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Keywords | 産業・労働・余暇 / 非正規労働 / オフショア / 環境管理型権力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポスト近代社会における、コールセンターを中心的な事例とした職場での管理について明らかにすることである。 研究二年目にあたる昨年度は、初年度より始めたセンターでの職場におけるIT化を背景として用いられている各種の管理ツールの国内外での実態について研究・調査をさらに進めた。これらの各種プログラム化された管理ツールは、例えば、KPI(Key Performance Indicator)といわれる、センターのオペレーター(コミュニケーター)と顧客とのやり取りに関して、コールの応答率や処理件数・時間等々の設定された特定の数値等の目標を実現するよう業務プロセスをモニタリングすること等、蓄積されたデータベースをもとに管理が行われている実態について把握できた。これらの実態をもとに、研究の基礎となる社会のポスト近代化に関する理論的な検討を加え、人の内面を形成することによって自律的な労働者をつくるという近代的、規律・訓練的な管理に対して、環境としてのアーキテクチャーによって主体化によらず管理する「環境管理権力」の観点からの分析を行った。研究成果としては、第62回関西社会学会の一般研究報告「産業・労働」部会にてコールセンター内の管理についての発表を行い、また「経営論集」においても分析した結果を発表した。 また、オフショアといわれる海外でのコールセンターの実態や、グローバルBPO(Business Process Outsourcing)といわれる企業や各種団体の業務処理(ビジネスプロセス)の一部を海外での外部業者に委託する動きについて、現地訪問調査を実施し、実態の把握につとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の震災による補助金交付の変更、大学内での手続きの変更による遅延や、研究・調査予定であった企業・団体への影響もあり、当該研究年度前半には進捗の遅れがみられたが、後半にはほぼ順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は、昨年度、震災等の影響により残り、発生した課題についての資料収集を行う予定である。特に海外での研究・調査を推進することが必要と考えられる。また、最終年度として、これまでの調査・研究をふまえ、総合的な分析を行う予定である。
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