2011 Fiscal Year Annual Research Report
スティグマを伴う障害をもって生活する人々の生活支援システムに関する社会学的研究
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22530571
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
的場 智子 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (40408969)
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Keywords | スティグマ / 精神障害 / 韓国 / 地域生活支援 / まなざし / 偏見 |
Research Abstract |
精神障害に対する社会からの偏見、スティグマに関して、韓国における精神障害者の人権状況について文献を収集、解読を行った。障害者実態調査によると、障害者世帯の月平均所得は全国の月平均世帯所得の54.0%水準であり、障害者の68.5%が現在の障害のために月平均l5万9千万ウォンを追加で支出していることが明らかになった。一方精神障害者の世帯の平均所得は平均月112.5万ウォンで、障害者世帯の平均l81.9万ウォンよりも低く、これは他の障害群に比べて高い水準で政府の社会保障制度に対する依存がさらに高いという結果であった。精神障害者が地域で生活するためには、病院ではなく「住居」が不可欠である。精神障害者の住居占有形態は、他の障害者に比べて自家の比率が低く、全般的な住宅満足度は癲癇障害の次に低かった。最も必要な住居支援では住居費補助が最も高く、自立生活のための在宅サービスも障害者全体の中で2番目に高かった。住宅に対する満足度が全体の障害者の平均より低く、全般的なQOLは最も低かった。地域住民の「不十分な理解」のために、集合住宅からの退去を求められたり、再び病院に戻るという事例も見受けられた。基礎生活保障制度、医療給料、障害年金や手当、社会保険と関連して対象者の選定基準や申請の手続き、給料の水準などについて、よく分からないとの回答が40~70%に達するぐらい高かった。これは在宅精神障害者が社会保障制度を利用した経験が無かったり、このような制度を活用する場合にも資格条件や申請手続き、給料水準についてよく理解していないということを示唆する。障害のために欠格事由が残る職業、資格も依然として存在する。日本よりも地域生活システムが進みつつあると思われる韓国でも、さらに改善が必要な事項が多く見受けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内、海外、とりわけ韓国に関する資料については順調に蓄積できつつある。フィールド調査についても対象にアクセスするなど、順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、国内、海外の資料を収集し、さらなる整理・論文化を進める。また研究対象としている領域においては、外貌損傷関係の資料収集・フィールド調査に関して、さらに力を入れ取り組むようにする。
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