2012 Fiscal Year Annual Research Report
スティグマを伴う障害をもって生活する人々の生活支援システムに関する社会学的研究
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22530571
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
的場 智子 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (40408969)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 精神障害 / 外貌損傷 / スティグマ / まなざし / 韓国 / 地域生活支援 |
Research Abstract |
外貌損傷者に対する生活支援システムとして、我が国よりも様々な取り組みが行われている米国フェニックスソサエティの取り組みについて資料を収集し、どのようなことが行われているのかについて検討した。米国フェニックス・ソサエティは1977年に飛行機事故で重度の熱傷を負ったアラン・ブレスロー氏によって設立された組織で、当事者とその家族の社会復帰を支援する活動を行っている米国唯一のNPO法人である。これまでの活動で組織が使命としていることは「ピアサポート」「教育」「唱道」である。 重度の熱傷体験者が同様の問題で悩む当事者の社会復帰を支援するプログラムとして「SOAR」がある。これは熱傷体験者と熱傷医療、精神医療の専門家が協働でさくせいしたもので、現在では全米110の熱傷センターの半数で使用されている。当事者や家族がピアサポーターになるための4時間トレーニング、医療専門職対象の教育プログラム、ピアサポーターのインストラクターへの教育プログラムが組まれている。また米国フェニックスソサエティではホームページ内にチャットプログラムやイメージ改善メイクビデオ、ニュースレター、熱傷児童のための復学プログラム(The Journey Back)などが解説され、重傷者の社会復帰に向けたサポート体制が作られている。 我が国の熱傷体験者に対しては「フェニックスの会」がある。設立当初は熱傷協会からサポートを受け、日本の熱傷体験者に対する唯一の組織として受傷者同士をつなげる活動やピアサポート、カモフラージュメイク指導を行っていたが、組織運営の世代交代がうまくいかず、活動が停滞している状況にある。 精神障害者に向けられた社会からの偏見、スティグマについては、これまで収集したデータをもとにを学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精神障害、外貌損傷それぞれについて、海外の先進的取り組みの資料は収集できつつある。国内の調査対象先とも良好な関係が築けており、継続的に情報収集ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した文献に関して検討し、不足している部分についてはさらに補足するとともに、精神障害と外貌損傷それぞれに最も求められる支援、その差異と共通点について検討し、論文化を進める。
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