2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会における高齢者-成人子関係についての実証的分析と理論枠組みの構築
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22530588
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大和 礼子 関西大学, 社会学部, 教授 (50240049)
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Keywords | 社会学 / 世代間関係 / ジェンダー / 政策・制度 / 男性稼ぎ主モデル / 父系 / 双系 / 女性の就業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第1に、現代日本における家族内の高齢者-成人子関係を理解するための理論枠組みとして、 (1)政策・制度要因論(公的政策・制度が、家族内高齢者-成人子関係に影響を及ぼす)、 (2)「性別分業にもとづく双系」と「系譜における父系」の「並存」という視点、 の2つを提案し、その有効1生を実証的に検討することである。 第2に、その結果をもとに家族内の高齢者-成人子関係をよりよく支える政策.制度について考察することである。 この目的のために以下の研究を行った。 (1)同居の規定要因について、分析を行った。単身の父親に比べて単身の母親は既婚子と同居しにくいことが観察され、「系譜における父系」にも性別分業が影響していることわかった。この結果について英文でペーパーを書き、国際ワークショップで報告した。 (2)国際ワークショップでのディスカッションから示唆を受けて、近居についての分析を行った。単身の母親は既婚子と近居しやすい傾向も見られなかった。今後はこの結果を同居の分析と併せて考察し、論文としてまとめる予定である。 (3)上記(1)(2)の分析から、女性の労働市場参加が世代関係に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。ある程度以上の収入がある女性は、夫の親でなく自分の親と同居しやすい傾向がある。そこで女性の労働市場参加が特に1990年代以降どのように変化したかについて、統計的分析を行い、論文として発表した。 (4)介護と遺産の交換について、インタビューデータを分析した結果、都市部で別居している親子においては、介護と遺産の交換は成立しにくいことがわかった。これを現在、英文の論文にまとめている。 (5)相続・住宅市場について、近年の状況について文献を元に情報を集めた。近年、相続問題が増加しているが、その背景には本研究の枠組みである「双系」と「父系」の並存があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とした分析が進んでおり、そのうちのいくつかはこの年度に発表できたし、またいくつかは次年度に発表する準備が進んでいる。また分析結果から、本研究で提案した枠組みが有効であることが示されたし、枠組みを発展させることにつながる新たな知見も加えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・これまで分析してきた結果を、論文、特に英文の論文にまとめ発表することを重視する。 ・論文にまとめる過程で、補足的な分析が必要なので、それを行う。また、制度面での文献レビューがさらに必要なことがわかったので、それについても行う。
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Research Products
(2 results)