2012 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会における高齢者-成人子関係についての実証的分析と理論枠組みの構築
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22530588
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大和 礼子 関西大学, 社会学部, 教授 (50240049)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 社会学 / 世代間関係 / ジェンダー / 政策・制度 / 男性稼ぎ主モデル / 父系 / 双系 / 女性の就業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「公的政策・制度が、家族内の私的な高齢者-成人子関係に影響を及ぼす」「現代日本の家族内高齢者-成人子関係は”性別分業にもとづく双系”と”系譜における父系”の”並存”として捉えられる」という2つの枠組みに基づき、家族内の高齢者-成人子関係について実証的に分析することである。その結果、①制度的想定の内部、および制度的想定と家族実態の間に非一貫性があること、②子世代の性別分業の変化が世代関係に影響を及ぼしていることがわかった。 (1)介護と遺産の交換:遺産相続については父系に従い息子を中心に行い、介護については性別分業型双系に従い娘を中心に期待するという傾向が見られた。その結果、介護と遺産の交換という従来パターンは崩れつつあるが、遺産をどう分配するか、介護をした子にどう報いるかについての新パターンは形成されておらず、世代間援助の障害となっている。 (2)同居:成人子と父親との同居については、母親が健在かどうかに影響を受けないが、母親との同居については、父親が亡くなっていると母親とは同居しにくい傾向がある。これは、「高齢女性は、夫あるいは息子に扶養される」という制度的想定(性別分業型双系と父系の両方が想定)と、実際の家族関係にずれがあることを示す。 (3)子世代の性別分業の変化:性別分業型双系と父系は共に、男性稼ぎ主型の家族と適合的だった。しかし1990年代以降、子世代の性別分業が2分化した。男性の雇用不安定化や育児支援制度の充実によって、妻が正規雇用の家族では男性稼ぎ主型が揺らぎつつある。しかし女性でも非正規雇用が増え、妻が非正規雇用の場合は、男性稼ぎ主型が維持されている。そして前者(妻が正規雇用)の家族では、妻方の親と同居しやすいなど、世代関係の変化が見られた。 今後は、家族内の世代間援助をより円滑にするためには、どのような公的制度が必要かについて考える必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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