2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530591
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
金 明秀 関西学院大学, 社会学部, 教授 (80309062)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 国際社会・エスニシティ / ナショナリズム / 排外主義 |
Research Abstract |
本研究は、日本人のナショナル・アイデンティティならびに民族的マイノリティに対する態度の構造と形成過程を計量的に特定するものである。平成24年度は最終年度であるため、主として国内外の学会における口頭発表により研究成果のアウトプットを行った。研究成果を要約すると以下の通りである。 (1)排外主義の多層性:排外主義は少なくとも4種類の異なるルートによって形成されている。①年齢変数を背景に持つ社会意識群を経由するルート、②社会的ネットワーク要因を背景に持つ社会意識群を経由するルート、③社会階層要因を背景に持つ社会意識群を経由するルート、④政治的態度である。単一の現象だと見誤ることなく精緻に実態を把握する必要が確認された。(2)年齢が排外主義の形成に及ぼす巨大な効果:加齢・時代・世代いずれの効果かは不明だが、「若者の右傾化」という認識フレームが誤っていることは確認された。(3)同化主義の排外性:日本で美徳とされる同化主義が排外主義を強く押し上げる効果を持つ。同化主義に伴う「他者化」機能の悪徳に自覚がないところが日本のローカリティ。(4)排外主義を形成する階層ルートの発生:欧米とは異なり階層変数から排外主義への直接効果はないが、間接効果が存在。各種のデータによると、この関係は強まってきていると示唆される。(5)浮遊する政治意識の排外性:新自由主義政策の支持と排外主義の関連性。ティーパーティ運動に似た現象。(6)排外主義を克服するネットワーク要因の存在:対人関係の幅の狭小化趨勢は、排外主義の強化へと帰結する。逆に言えば、持続的な対人関係の幅を拡大することにより、排外主義を抑制することが可能。例えば韓国・朝鮮人の多い地域で排外主義の高揚が抑制されているのは「多文化関係資源」とでも呼ぶべき重要な資産である。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)