2010 Fiscal Year Annual Research Report
長期ひきこもり体験者の社会移行を支援する地域づくり活動
Project/Area Number |
22530600
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
江口 昌克 静岡大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (10337488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 達史 静岡大学, 人文学部, 准教授 (00313916)
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Keywords | 長期ひきこもり / 初期相談 / 社会移行 / ソーシャルサポート |
Research Abstract |
平成22年度は以下の研究を行った。 1. ひきこもり体験者への社会移行支援に関する予備的研究 関連する国内外の文献を収集した。また,相談機関としての精神保健福祉センター,青少年相談センター,就労支援に関わる地域職業訓練センター,家族会(KHJ静岡)への視察調査を実施した。さらに,居場所支援に関わるグループへの参与観察を継続的に実施し,ひきこもり支援における医療・保健モデル,福祉・教育モデル,社会学的モデルなどの関連概念について検討を行った。 2. ひきこもりを長期化させる要因の検討 社会移行への有効な基盤である家族が問題を抱えた初期においてどのような援助要請行動を行ったのか,医療・相談機関の利用状況および当該機関における相談・受療体験について調査を行った。方法としては(1)グループインタビュー:20名,(2)質問紙調査41名といった質的・量的側面から調査を実施した。結果として,専門性の高い窓口の不足,継続的な支援を得られる機関の不足のため,問題の膠着や家族の疲弊が生じ,遷延化する過程が明らかになった。一方で家族会所属・利用は重要なソーシャルサポート源となっており,安心し継続的な支援を得られる体験が家族のセルフケアに役立つことが明らかとなった。 次年度以降は,特に長期ひきこもり体験者の社会移行ニーズについて面接を中心とした丁寧な調査を試みる予定である。
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