2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知症に対する人々の態度とその関連要因に関する研究
Project/Area Number |
22530609
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
黒田 研二 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (70144491)
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Keywords | 認知症 / 態度 / 知識 / 偏見 / 啓発活動 |
Research Abstract |
平成22年度の研究で、認知症に対する態度尺度を作成し、態度尺度についての信頼性、妥当性を検討した。また、認知症についての知識尺度を開発した。態度尺度の質問項目は、認知症への受容的態度、配慮や世話への積極性、関わりを拒否する態度といった、肯定的・否定的態度を問う内容の15項目からなり、質問項目には4件法で回答してもらい、回答結果をもとに尺度作成が行えるようにした。認知症についての知識尺度も15項目で構成し、認知症についての理解の度合いを測定できるようにした。次に、地域住民グループ(堺市内の一定地域住民)および特別養護老人ホームの介護職員を対象に、作成した質問紙をもとに認知症についての態度調査を実施した。 その結果、介護職員は地域住民に比べ、認知症の人に対し、より受容的な態度を示した。地域住民と介護職員両群とも、肯定的態度の関連要因では、認知症に関する知識が最も強い関連を示した。一方、認知症の人に対する否定的態度の関連要因には違いが見られ、地域住民は認知症の人と関わりの無いことが、介護職員は高齢者イメージ合計得点が低いことが、最も強い関連を示した。また介護職員においては、ユニットケアの実施が受容的態度と関連していた。地域住民にとっても介護職員にとっても、認知症の人に対する態度を受容的にするためには、認知症に関する知識を深めることが重要だと考えられた。また、地域住民にとっては、認知症の人との関わりの体験を普及させることで、認知症に対する否定的な見方を軽減させることができると推定される。介護職員においては、ネガティブな高齢者イメージを変えるような老年学の研修、ユニットケアの普及が重要だと考えられる。
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