2010 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者のストレス対処能力SOCがソーシャルサポートの深化に及ぼす影響
Project/Area Number |
22530612
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
坂野 純子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70321677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 一枝 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70347607)
山崎 喜比古 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10174666)
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Keywords | 精神障害者 / SOC / ソーシャルサポート / ストレス対処能力 / 地域生活支援 |
Research Abstract |
核家族化や親の高齢化による世代交代を背景として、家族の介護機能の低下が懸念される昨今、慢性疾患患者や障害者の問題解決能力やストレス対処能力の形成を視野に収めた新しい枠組みの当事者研究の必要性が高まりつつある。アントノフスキーが提案したsense of coherence(以下、SOC)は、ストレッサーから身を守るだけでなく、ストレッサーを人生のアクセントや糧にしてしまう、より積極的なストレス対処能力として概念化されたものである。多くの先行研究でソーシャルサポートとSOCの関連が報告されている。初年度は、探索的な質的調査として、先駆的に精神保健福祉改革を開始し、精神障害者の地域における自立支援に取り組み、個々人の能力にあわせた福祉サービスを提供していることで知られるスウェーデンあ精神障害者施設をフィールドとして、面接調査およびグループディスカッションによりデータを収集・分析した。1)医療センター:医師1名、専門看護師1名、ソーシャルワーカー1名 2)授産施設:スタッフ2名、1名 3)障害者クラブ:施設長1名、メンバー2名、4)サポート住宅:管理人1名、メンバー2名への面接詞査それぞれにおいて、メンバーが精神障害をもちながら地域で自分らしく生活するための工夫やこつ、教育プログラム、課題について自由に語ってもらい、会話の内容を質的に分析した。その結果、1)患者自身が自分の病気を理解し、自主的に服薬すると医療効果は大きくなる。このことは法に定めるように「障害があっても生きる意義がある」ことを具現化する。2)集団での学習は「自分だけではない」という安心感を得、隠さないこと=オープンにすることにつながり、そのことが社会の認識を得ることになるという良い循環が生まれる。3)患者と家族が共に学習する教育プログラムが効果的であること等、が明らかになった。
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