2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域福祉を支えるコミュニティ・ファンドとしての共同募金の役割と機能分析
Project/Area Number |
22530617
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
増子 正 東北学院大学, 教養学部, 教授 (80332980)
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Keywords | 地域福祉 / 共同募金 / ソーシャル・キャピタル / コミュニティ・ファンド |
Research Abstract |
共同募金は、市民意識の変化による募金額の減少や共同募金普及への課題も多く抱えている。本研究の目的は地域福祉を支えるファンドとしての共同募金の機能と役割を分析することである。平成22年度では、宮城県内地区町村における募金額の推移の調査と、共同募金運動開始日の10月1日と15日の2回、それぞれ仙台市民165名を対象に市民の共同募金への意識を調査して、共同募金の目指しているソーシャル・キャピタル形成の可能性を検証した。 市民の意識調査のなかの共同募金の認知度では、1回目74.2%、2回目71%の市民が目的を知っているものの、集められた募金がどのように使われているのかを知らないのが1回目46.0%、2回目41.8%に及んでいた。これら周知度には、χ2検定の結果から年齢階級による違いがみられ、10歳代~30歳代で周知度が低いことが分かった。配分先の優先順位では、40歳代以上で児童福祉分野への優先的な配分を望んでいて、20歳代と30歳代では障害者福祉や高齢者福祉分野への配分を優先的に考えている。2回の調査でも同様の結果であったため、2回目の調査結果で述べると、ボランティアやNPOによる活動への配分を求める者は、10歳代33.3%、20歳代15.6%、30歳代11.1%みられたが、60歳代以上では全くいなかった。特に年齢が高い群では、旧来からの高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉、貧困者対策への配分を求めていて、新しい共同募金の役割である地域におけるソーシャル・キャピタルの形成に役立てるという意識は浸透していないことが検証された。 次年度では、実際に配分を受けた組織が、共同募金の配分を地域福祉推進にどのように結び付けようとしているのかを検証することが必要である。
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