2012 Fiscal Year Annual Research Report
最低所得保障と住宅権保障を中心とするフランス社会的包摂政策とローカル・ガバナンス
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22530618
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
原田 康美 東日本国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00406000)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 社会的包摂政策 / フランス / 現金給付 / 寄り添い支援 / 住宅政策 / 対抗権付き住宅権 / 社会住宅 / 地方自治体 |
Research Abstract |
2009月実施のRSA制度はフランスの社会的包摂政策推進のためのコアの制度である。この制度の対象者は、社会的寄り添い支援を優先するコースと就労復帰のための職業的寄り添い支援を行うコースに分類され、一人ひとりに指定される特定支援者とともに、就労復帰に向けて求職活動等を行うことになる。当該受給者が住宅問題を抱える場合、緊急宿泊所や中間宿泊所を経て社会住宅での居住が可能になるよう様々な住宅支援策を受けることができる。 社会的包摂政策の一環としての住宅政策に関しては、1990年に住宅権が明示的に法定されていた。しかし、社会的排除問題の広がりとともに、住宅困窮者への住宅保障が課題となり、既存の住宅権の実効性が問題になっていた。この住宅困窮者の住宅保障問題に応える目的で制定されたのが2007年の「提訴権付き住宅権」(DALO)法である。同法により、住宅困窮者のうちの優先対象者は、社会住宅への入居申請が認められなかった場合、地方自治体を相手に提訴できる権利が法定された。 DALO法制定から5年を経た2012年、その実効性と住宅困窮者の社会住宅への新規入居の実態が調査研究されている。そこで明らかになったことは、DALO法の実効性の担保は、結局のところ、良質かつ支払可能な社会住宅の建設・提供にかかっているということである。これを踏まえ、フランス政府は、地方自治体における社会住宅確保の義務強化(域内の総住宅戸数の25%を社会住宅とする義務、義務違反の自治体への罰則強化)とそれをバックアップするための財政支援を決定している。また、社会住宅が中間層向けになりつつある現状を踏まえつつ、住宅困窮者の問題は、緊急事態対策としての緊急宿泊所等で対応するのではなく、より長期に住居を確保しそれを基盤に地域に参加できるように、一般政策としての社会住宅政策の中で対応していくべきであるという方向性も提示している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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