2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者住宅の重度化対応に関する国際比較研究~住まいから分離されたケアの形~
Project/Area Number |
22530622
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
松岡 洋子 東京家政大学, 人文学部・教育福祉学科, 特任講師 (70573294)
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Keywords | エイジング・イン・プレイス / 地域居住 / 住まいとケアの分離 / 高齢者住宅 / 在宅ケア |
Research Abstract |
海外では、デンマークでの高齢者住宅(Breelteparken)での在宅24時間ケアの実態を同行観察し、高齢者住宅での3年間の退去実態(退去先、理由)・サービス利用状況・重度化対応について、訪問看護師から聞き取りを行った。 在宅24時間ケアは分刻みの巡回訪問であり、高齢者住宅ではこのケアを受けてそのほとんどが施設にリロケーションすることなく、在宅で死亡していた(認知症は除く)。在宅での看取り例からは、現場訪問看護師のスキルの高さ、医療・介護・看護連携のフレキシビリティ、高齢者自身の「孤独と向き合う覚悟」、無駄な延命は行わないことへの国民的コンセンサス(死生観)などが浮き彫りにされた。また、この在宅24時間ケアは高齢者住宅のみではなく、地域住民が誰でも利用できるサービスであった。 日本では、住宅型有料老人ホーム(生活科学運営)を対象に退去実態を調査した。有料老人ホーム内にある介護居室(介護型有料老人ホーム)への移動が37.4%であり、ケア不足を理由とした「住み替え」が多いことが実証できた。 日本では、「サービス付き高齢者向け住宅」が制度化され(2011年4月国会成立)、「24時間地域巡回型訪問サービス」も2012年4月からのスタートに向けて準備がなされている。施設に代わる「住まいとケアの分離」策が現実のものとして推進される中にあって、デンマークの在宅24時間の実態と重度化対応の様子を明らかにすることは、高齢者住宅においてさえも「住み替え」がなされている日本にとって必要不可欠な情報であり、「24時間地域巡回型訪問サービス」の制度設計にも役立つ内容である。
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