2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域協働における非営利組織の現実-インフラストラクチャー組織と自治体の視角から-
Project/Area Number |
22530629
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原田 晃樹 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (20340416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 敦史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (60292190)
松井 真理子 四日市大学, 総合政策学部, 教授 (30340409)
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Keywords | 協働 / NPO / ボランタリー・セクター / 社会的価値 / キャメロン政権 / インフラストラクチャー / アカウンタビリティ / ガバナンス |
Research Abstract |
研究開始年度に当たる今年度は、次の研究活動を行った。 第1に、英国労働党政権時代から現在の保守・自民連立政権に至る非営利セクター政策に関する政策文書及び主要な研究者の文献等をレビューし、政策がどのように変遷していったかを考察した。第2に、英国内閣府市民社会局及び自治体担当者に、政府・自治体の協働政策についてインタビューした。第3に、障害者の就労支援事業を展開する社会的企業であるソーシャル・ファームズUKのスタッフにインタビューするとともに、関連文献をレビューした。第4に、非営利セクターの全国型インフラストラクチャー組織事務局長に、非営利セクターが直面している現状についてインタビューした。 以上の調査研究から、次の知見を得られた。第一に、現連立政権の非営利セクター政策は、個々の施策レベルでは労働党政権時代のそれと似通っているにも関わらず、施策の重点化によってそのコンセプトは全く異なるものになっていることである。端的な現象としては、社会起業家やコミュニティ支援の予算化はなされる一方で、セクターの集合利益は軽視され、協働関連施策は軒並み廃止されている。第二に、障害者のような就労困難者を包摂する社会的企業については、その収入の多くを公的資金に依存せざるを得ないが、政府の大規模な歳出削減が続く中、公的資金を得られる正当性をいかに主張できるかが問われていることである。前政権の時代は、インフラストラクチャー組織がセクターとしての集合利益を代表し、政府と交渉・協議する基盤も用意されていたが、今後は、組織単体の社会的価値が問われていることになると思われる。政府は、その手法として社会的投資収益(SROI)の活用を検討している。 非営利組織がいかなる説明責任を果たせば社会的価値を発揮したといえるのかということについては、次年度の課題とし、理論的枠組みについて考察していきたい。
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Research Products
(12 results)