2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域協働における非営利組織の現実-インフラストラクチャー組織と自治体の視角から-
Project/Area Number |
22530629
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原田 晃樹 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (20340416)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 敦史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (60292190)
松井 真理子 四日市大学, 総合政策学部, 教授 (30340409)
|
Keywords | 協働 / NPO / 地方自治 / 社会的企業 / インフラストラクチャー / サードセクター / 社会的価値 |
Research Abstract |
2011年度は、主に以下の点に関する調査研究を行った。 第一に、ローカル・ガバナンスにおける非営利セクターの位相について考察した。近年のいわゆる「新しい公共」において、サード・セクター(NPO)に対する期待が高まっているが、公共空間に多様な主体が参画する状況では、各主体のリンケージのあり方が問題になる。この点について、アカウンタビリティ(評価)の視点から検討し、他律的統制手段による評価の限界性について確認した。 第二に、地域のサード・セクターを下支えするインフラストラクチャー組織の社会的機能に関する調査研究を行った。 まず、労働統合型社会的企業(WISE)の国際比較研究を行う研究グループであるEMESの分析枠組みに依拠しつつ、国内のWISEの実態を把握するため、労働者協同組合連合会及び(財)協同総合研究所の協力を得て、全国のワーカーズ・コープの事業所を対象に、事業実態(事業活動の概要、組織ガバナンス、ネットワーク、財源構成等)と就労困難者の受け入れ実態に関するアンケート調査(計2種類)及び代表的な系譜ごとのインタビュー調査を実施した。この調査結果を踏まえ、次年度では、社会的企業、とりわけWISEの社会的価値とはどのようなもので、それがどのような条件によって促進あるいは制約されうるのかを考察していきたい。 次に、英国におけるインフラストラクチャー組織に対する評価の実態を確認するために、英国の実践家及び研究者に対するインタビュー調査を行った。この調査から、インフラストラクチャー組織の社会的価値をいかに測定可能なものにするかが大きな争点になっており、その評価をめぐってさまざまな議論が展開されている実態が明らかとなった。評価のあり方それ自体を評価される側自らが提起し、議論の俎上にのせることの重要性を再認識した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本調査研究は、社会的排除問題に取り組む非営利セクターが、地域の政策形成やサービス供給において一定の影響力を行使できるようになるための基盤条件を考察することを目的としている。そこで、今年度においては、協働政策の先進国である英国の実態を継続的に調査すると共に、非営利セクターが公共領域において一定の存在感を発揮するための評価のあり方について考察した。また、その際、非営利セクターがその活動を適切に評価されるには、非営利組織(NPO)の社会的価値を明示的に提起することが必要であることから、研究蓄積の乏しい国内社会的企業の実態調査も行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
本調査研究は、次年度で終了するため、今年度までの調査研究で得た成果や知見についてのとりまとめを行いたい。ただし、本研究の主たる目的である非営利セクター(特にインフラストラクチャー組織)に対する評価のあり方については、英国の動向についての継続的な調査が必要である。幸い、英国の研究者や実践家から、多くの助言を得られるようになったので、次年度においても、英国調査については引き続き精力的に行っていきたい。
|
Research Products
(13 results)