2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530631
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加瀬 裕子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30296404)
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Keywords | 認知症 / 夫婦 / ライフレビュー / コミュニケーション / 介護負担感 |
Research Abstract |
【目的】ミシガン大学で開発された認知症夫婦への構造化ライフレビューと夫婦の物語のアルバム作成で構成されたCouples Life Storyが、介護者の認知症配偶者との関係性の意識にもたらす変化や改善について探索的に分析することを目的とする. 【方法】在宅の認知症高齢者と介護者夫婦5組を対象とした.(認知症:夫2名、妻3名;平均年齢72.4歳,介護者(平均年齢71.2歳)アルツハイマー型認知症5名.NMSE15(1名),16(2名)の中等度3名,測定不可の重度(2名).平均介護期間3.9年(5ヶ月$#8722;17年).平均夫婦歴46.6年.6回にわたるセッションを実施し、調査尺度での介入評価を行うと同時に、逐語データを分析シートにデータベース化し,コーディングと類型化を図った. 【結果】25項目の概念が抽出された.内容は[自己意識][認知症配偶者への意識][夫婦関係への意識][周囲への意識][実践への意識][認知症本人への影響]の6類型に纏められた. [自己意識]では,《一つの区切り》《人生のまとめ》《乗り越える意欲》等,自分を見直す意識が抽出された.[認知症配偶者への意識]では,《理解と感謝》《本来像への追慕》《本人の苦悩不安への気づき》と共に,《喪失への不安/怒り》の否定的意識も抽出された, 「中等度認知症夫婦」では,(1)「共有」の思い出や「共感」の語りによる夫婦回想の楽しみが語られた.(2)認知症本人の自発的な深い語りも引き出せ,それを聞く介護者にも影響を与えた.(3)介護者意識の変化が認められた.「幸せな人生だった」という人生の肯定と,「一緒に語る時間や共感は認知症配偶者に大切だ」という気づき等が語られた. 【結論】会話分析の結果と同様に,介護負担尺度の明らかな軽減等個別の効果が伺える結果も認められた.さらに事例を蓄積することが課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究参加を希望する認知症患者と介護家族を獲得することが困難なため、量的分析に十分なサンプル数が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
「夫婦間ライフレビュー」についての広報に努め、居宅介護支援事業所等に研究参加を働きかける。
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