2010 Fiscal Year Annual Research Report
居住政策における住居の役割と他施策との連携に関する研究
Project/Area Number |
22530634
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
岡本 祥浩 中京大学, 総合政策学部, 教授 (70211810)
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Keywords | 貧困 / 社会的排除 / 差別 / 居住福祉 |
Research Abstract |
2011年3月に「反貧困集会inあいち」において「居住の貧困」分科会を開催し、無料低額宿泊所、ビッグ・イシュー販売者、障がい者、子ども、高齢者の居住を支えている団体や当事者が参集してもらった。居住実態の報告から、居住弱者が住居を獲得することが非常に困難で、獲得できた場合にもその居住水準が人権を守るに相応しくないことが、明らかとなった。 居住弱者が適切な居住を実現するには住居とともに生活支援が必要であるが、次のような実施事例がある。さいたま市を中心にホームレスの人々などを支援している「ほっとポット」によると、食べる、寝る、安全など生きていく上での必要は、住宅がなければ満たされない。安心や安らぎといった心の支えであったり、「居場所」を提供したりする。地域社会への参加やネットワークの拠点になるのも住宅である。そこで住居を失った人々にまず「緊急一時シェルター」を提供し、当事者が必要とするものを見極めたうえで、住居と生活支援や見守りを提供し、適切な居住を実現できるように支援している。 北九州ホームレス支援機構は地域でホームレスを支援しようとしているが、東日本大震災後、ホームレスの人々のための仕事を被災地で起こしたり、被災者を北九州に受け入れたりしている。そこでも居住者の生きがいを実現するにふさわしい住宅を探し、日々の生活の見守りを提供している。 2011年のEMHRの分科会とFENTSAの合同会議では、移民問題をテーマにホームレス問題が議論されたが、同じような貧しい居住水準であっても移民と、もともとのイギリス人では受け取り方が異なっていることが明らかにされた。当事者の状態や経験が異なると同じ住宅でも意味が違うことを意味している。また、イタリアでは世界的な人権基準ですべての人々を支援するのではなく、国内の合意を重視している点が明らかになった。
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Research Products
(3 results)