2010 Fiscal Year Annual Research Report
都市高齢者の新たな「孤立」の諸相と解決にむけたソーシャルワーク実践の日韓比較研究
Project/Area Number |
22530635
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
野口 典子 中京大学, 現代社会学部, 教授 (10142647)
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Keywords | 高齢単身世帯 / 親密圏 / 地域社会 / 再統合 / ネットワーク / 高齢引きこもり |
Research Abstract |
2010年度では、「健康寿命の延長」と「孤立予防」の試みに関して、I県N市M区、I市における取組みの実践について、その実際についてヒアリングを行った。その成果を第6回社会保障国際会議にて報告した。第1点目は、民生委員の単身世帯へのアプローチが挙げられる。(1)「ひとり暮らし高齢者基本調査/単身世帯へ定期的に訪問をし、安否確認を行う。(2)「安否確認票」の作成/災害時・緊急時にレスキューするための台帳となる。自己申告によって登録する。(3)「緊急マップ」の作成/消防や警察との連携をとりながら、緊急時の対応を行うことを本人との了解により実施、(4)「連絡カード」の作成/担当の民生委員やかかりつけ医・病院などと緊急時の連絡先が記入されたカードを高齢者と共有する。(5)単身高齢者の会食会(月1回)/民生委員からの働きかけで会食会を実施している。民生委員の地道な活動によって可能となっている。第2点目は「サロン」の開催が挙げられる。地域の公共空間や個人の自宅などを利用して、集う"たまり場"を設ける。社会福祉協議会のコミュニティワーカーが実施や運営のアドバイスを行っている。第3点目は、新たな試みとして新聞販売所との提携による見守り活動が実施されている。高齢者本人、新聞販売所、市役所との契約による安否確認を行っている。市役所は単身世帯台帳を作成し、訪問により安否確認を必要な方に行っている。第4点目に高齢者世代同士の支援活動(友愛訪問、友愛外出)がある。当事者同士の見守り活動が地域の安心を作り出している。こうした見守りのしくみ効果についてアンケート調査と個別事例調査を実施した。その結果、全般的に満足度は高いが、見守りのしくみから漏れてしまう高齢者(高齢引きこもり)の存在が明らかになった。その特徴は、1)男性の単身高齢者、2)子ども世代に依存的な層、3)前期高齢層男性の虚弱層、4)90歳以上の超高齢層などであった。
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Research Products
(1 results)