2011 Fiscal Year Annual Research Report
都市高齢者の新たな「孤立」の諸相と解決にむけたソーシャルワーク実践の日韓比較研究
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22530635
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
野口 典子 中京大学, 現代社会学部, 教授 (10142647)
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Keywords | 高齢核家族 / 社会的廃用性症候群 / ネットワーク / 再統合 / 親密圏域 / パートナーシップ / コミュニテイワーク / 事例管理 |
Research Abstract |
2011年度は、1県1市において引き続き、高齢核家族世帯を対象に、日常生活行動と社会関係に関する行動調査ならびにヒアリング調査を実施し、その分析を行った。その結果をもとに、第7回日中韓社会保障国際会議にて、「超高齢化社会における地域包括ケア構想とその可能性」と題して報告した。地域包括ケアを可能にするには、地域の社会資源の充実が不可欠であり、その際の重要な点は、医療機関と基礎自治体および民間のボランラリーセクションなどとの「パートナーシップ」であることが判明した。そのためにも、柔軟かつ有効な地域ケア会議の運営が必要となってきていることから、第5期介護保険事業計画策定においてその点を指摘し、事業計画の策定へ参与し、実行の段階へと進めている。また、2011年度から策定作業に入っている地域福祉計画・活動計画にも参加し、パートナーシップを形成していく具体策への取組みに際し、ニーズ把握、分析を行うための専門職会議を立ち上げ、試験的に行ってきた。 韓国での総合社会福祉館を中心とした専門職(社会福祉士)により地域支援体制へのヒアリングを継続してきた。そうした中で、「事例管理方法」の開発に関する共同研究を行っていくことになり、2011年12月に第1回の会合を持ち、今後継続的に研究交流を行うことになった。安心を作り出している。こうした見守りのしくみ効果についてアンケート調査と個別事例調査を実施した。昨年度のヒアリングで明らかになった地域における見守りのしくみから漏れてしまう高齢者(高齢引きこもり)、1)男性の単身高齢者、2)子ども世代に依存的な層、3)前期高齢層男性の虚弱層、4)90歳以上の超高齢層などに対する専門職の継続的支援体制の方法について共同研究を今後継続していくことになった。 新たな問題として、2011年3月11日に起こった東日本大震災はまさに新たな「孤立」を作り出してきている。避難所から仮設住宅への移行がほぼ済んだ段階から、こうした現象はさらに進行してきている。現地の協力を得ながら、仮設住宅居住者への地元の支援員を仲介しながら、情報の収集を行ってきている。しかし、この作業は時間のかかる作業であり、これからも逐次取り組んでいきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた大都市近郊における高齢核家族世帯におけるヒアリングを終了し、その分析を行っている。その自治体における介護保険事業計画および地域福祉計画.地域福祉活動計画に参加し、実際にどのような「見守りネットワーク」が可能かつ有効であるかの検証に入っている。また、東日本大震災以降の高齢者の新たな「社会的孤立」に関する情報収集を追加している。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国・ソウル市にあるウォルゲ総合社会福祉館との研究連携により、「事例管理方法」に関する研究交流を実施してきており、2012年度は主に、高齢核家族とりわけ「高齢夫婦世帯」や「高齢者と孫」の生活問題へのアプローチ方法について検討していく。 また、東日本大震災から1年が経過している中で、高齢者の社会的孤立の実態について情報の収集と専門職集団のネットワーキングの方策について検討していく。
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