2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会的養護における支援課題としての社会関係形成-児童養護施設経験者の生活史から-
Project/Area Number |
22530645
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
伊部 恭子 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (90340471)
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Keywords | 社会福祉 / 児童福祉 / 自立援助ホーム / 社会的養護 / 生活 / 自立支援 / 社会的つながり / 社会関係 |
Research Abstract |
本研究は、社会的養護サービス利用経験者の個々の人生における社会的養護サービス利用の意味と評価の検討及び施設等の事例分析を通じて、支援課題を明らかにすることを目的とする。分析の視点は、先行研究をふまえ(1)当事者の生活課題の複合性。多重性、(2)当事者が安心できる生活環境、(3)当事者の自尊感情や自己肯定感の回復・育成、(4)当事者に寄り添うおとな(養育者、支援者等)の存在を含めた社会関係の回復・形成、(5)当事者が支援を必要とする期間と社会関係、である。 研究実施計画における本年度の主な内容は、当事者への生活史インタビューの実施と分析であった。交付申請書を提出した平成21年11月~平成22年度にかけて、インタビューを実施した。得られたデータは当事者の了解を得て録音し、逐語録(テープ起こし)の作業、データ分析、調査対象となっている施設等の取材を行ってきた。 本年度は特に、自立援助ホームの利用経験者へのインタビュー結果の分析を行った。その結果、様々な心身の傷や生活困難、課題を複合的にかかえきた当事者が、自立援助ホームという安心、安全な拠点(居場所)と、サポートティヴなスタッフの存在を得ることで、生きる力を取り戻し、心身の成長を促進し、家族関係を含めた新たな社会的つながりを回復、育成、再構築する可能性をもつことが示唆された。先行研究の結果を裏付ける知見を得るとともに、当事者の社会関係の回復・形成に向けての自立援助ホームの果たす役割・機能と、児童福祉法における対象年齢を超えた「18歳以上」の者への支援の必要性が浮き彫りになった。これらは一次分析として得た研究結果の意義であり、分析方法の吟味と考察をより深めることが今後の課題である。併せて、インタビュー全体の結果分析等を課題とする。
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Research Products
(1 results)