2012 Fiscal Year Annual Research Report
社会的養護における支援課題としての社会関係形成-児童養護施設経験者の生活史から-
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22530645
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
伊部 恭子 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (90340471)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 社会福祉 / 児童福祉 / 社会的養護 / 生活支援 / 自立支援 / 社会関係 |
Research Abstract |
本研究は、社会的養護サービス利用経験者(以下、当事者)の個々の人生における社会的養護サービス利用の意味と評価の検討及び施設等の事例分析を通じて、支援課題(即ち自立支援という課題)を明らかにすることを目的とする。分析の視点は、先行研究をふまえ、(1)当事者の生活課題の複合性・多重性、(2)当事者が安心できる生活環境、(3)当事者の自尊感情や自己肯定感の回復・育成、(4)当事者に寄り添うおとな(養育者、支援者等)の存在を含めた社会関係の回復・形成、(5)当事者が支援を必要とする期間と社会関係、である。 本年度の研究実施計画では、前年度に継続し、(I)当事者を対象としたインタビュー結果に関する生活史分析・追調査、(II)児童養護施設、自立援助ホーム、当事者団体等の社会的養護サービスに関する施設・団体等への取材・インタビュー、(III)インタビューの結果分析の方法に関する精査、理論的検討、(IV)学会、論文等における研究成果の発表(中間発表)と研究課題の整理を中心に行うことであった。その具体的内容について、(I)は、前年度に引き続き得られたデータの分析を行った。(II)についても引き続き、調査対象施設・団体等への取材を行い、専門的知識の提供を受けた。(III)では、文献研究や、学会・研究会等への参加を通して検討を進めた。(IV)については、研究成果の一部を発表した(本実績報告書の13.の通り)。 研究の意義と重要性については、本年度は特に、当事者の家族関係・社会関係に関する検討について、施設退所後、家庭復帰(家族との同居)をした者を中心に、施設入所前から退所後の生活の過程に則して分析を行い、課題を考察した。 次年度は、調査結果の全体像を明らかにすることに努め、考察の深化と理論化をはかることを課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由)「研究の目的」、「研究実施計画」に基づき、研究を進めているものの、データ分析に関して、丁寧な読み込みと分析枠組の精緻化・吟味が求められ、当初の研究計画以上に研究作業の時間を費やしている。具体的には、実施した生活史インタビューについて、質的調査の研究方法論の検討、得られたデータの抽出と分析の検討に力点を置いたことによる。 エビデンスに基づき、丁寧な事例研究・分析を研究方法論として構築していくことが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の推進は、本年度が最終年度となる。今後の推進方策については、これまでに得られた成果・知見をもとに分析を進め、エビデンスを重視し、結果の妥当性の検証と理論化にむけての作業が中心となる。その為、引き続き、先行研究の吟味と、調査対象者及び関係者から専門的知識の提供を受ける。なお、調査対象となっている施設・団体への契約は継続して協力を得られる予定であるが、実際の取材・インタビュー・専門的知識の提供を受ける時期等については、対象と協議しながら進めていく予定である。 また、研究成果の一部については、前年度中間まとめとして学会及び論文にて報告しているが、全体のまとめは今年度となる。当事者への生活史聞き取りという方法から、研究倫理をふまえ、成果をまとめていく予定である。
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Research Products
(2 results)