2010 Fiscal Year Annual Research Report
年金の脱貧困化効果に関する計量・歴史・比較事例分析
Project/Area Number |
22530646
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鎮目 真人 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50285508)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 正基 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ポストドクトラルフェロー (80511998)
城下 賢一 立命館大学, 文学部, 講師 (70402948)
|
Keywords | 基礎年金 / 私的年金 / 漸進的制度変化 / ドイツ福祉国家 / 農協共済制度 / 社会民主主義 / 関嘉彦 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に沿って、年金脱貧困化研究に関連する文献、データ、資料収集を行った。また、学外者を招いて研究会を組織し、2010年11月15日と2011年3月1日に研究会を開催し、研究テーマに関する知見を深めた。2010年2月7日には、JR西日本の特例子会社「あいウィル」を訪問し、障害者雇用の実態について視察した。各自の研究実績は、以下の通りである。 鎮目の研究実績は、(1)日本の国民年金の成立時点から2009年の改革まで、どのようなアクターが制度改革に関与したのかということを各種の文献・資料に基づいて調査した。そして、新制度論の枠組みに基づいて、改革の性質を明らかにした。(2)OECD諸国の私的年金制度について文献・資料に基づいて調査を行い、私的年金制度の普及と高齢期の貧困との関連について考察した。 近藤は、(1)ワーキング・ペーパー(共著)を執筆した。そこでは、漸進的制度変化の諸類型を用いて、戦後ドイツにおける年金制度の変容について考察した。その結果、従来提起されてきた類型に加えて、「制度停止」という変化のあり方が提示された。(2)日本政治学会でドイツ福祉国家の戦後史について、これまでの研究成果をまとめて報告した。(3)また、1月のドイツ調査では、キリスト教民主同盟やドイツ社会民主党内部の年金改革論議について、資料を収集した。加えて、デュッセルドルフ大学病院やカリタス・ボン支部などで聞き取り調査を行い、福祉供給に携わる人々へのインタビューを敢行した。 城下は、(1)農協による年金制度(農協共済制度)について文献を収集し、制度の創設・発展について調査を行った。(2)戦後の政党勢力のうち、民社党の創設に深く関わりブレーンとなった関嘉彦の思想形成と民社党成立時の動向について研究し、その成果を2010年度日本政治学会大会で報告した。そこでは、関が師・河合栄治郎の影響下でイギリス労働党研究を志し、戦後いち早くイギリス型の社会民主主義を身につけ、実践を図った過程を明らかにした。
|