2011 Fiscal Year Annual Research Report
精神病者監護法、結核予防法および癩予防法の制定・実施過程の比較研究
Project/Area Number |
22530657
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
村上 貴美子 関西福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (00301846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 みのり 金城学院大学, 現代文化学部, 准教授 (80367573)
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Keywords | 社会福祉関連 / 精神病者監護法 / らい予防法 / 結核予防法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、明治中後期に成立した精神病者監護法(1900年・明治33年制定)、結核予防に関する件(1904年・明治37年・結核予防法、1919年・大正8年)および癩予防法(1907年・明治40年)の三法の政策理念および法実施状況の比較検討を通して、三法が三様の法理念をもつに至る社会的必然性を明らかにすると同時に、1900年当時の3疾病に対する法的認識を検証することにある。平成23年度は、以下の(1)~(3)を中心に取り組んだ。 (1)三法成立過程およびその社会的背景に関する史資料の収集・整理・分析。具体的な作業としては、(1)殖産興業政策と人力政策に関する資料の収集・整理・分析を行った。その成果を、「殖産興業政策と人力政策の統合(1)」、「労働行政の創出過程」-殖産興業政策と人力政策の統合(2)」、「労働行政の創出過程-殖産興業政策と人力政策の統合(3)」と題して、『関西福祉大学社会福祉学部研究紀要』(査読有)に発表した。(2)三法成立にかかわる帝国議会議事録を収集した。現在鋭意整理分析中である。(3)『国家医学会雑誌』に掲載されている3疾病に関する論文を収集した。現在継続して収集している。(2)家族制度の関連史資料の収集・整理・分析。具体的には、(4)明治民法成立過程の分析を通して、精神病者監護法の監護義務者と民法の禁治産者の監護義務者、扶養義務者の共通点および相違点を整理した。その成果を、平成23年7月に第21回アジア・太平洋ソーシャルワーク会議にて、「明治期日本の家族制度と精神障害のある人の「人権」に関する研究」と題して口頭発表した。また同年10月に、第15回精神医学史学会において「近代精神病者監護政策に関する研究」と題して口頭発表した。(3)三法の運用(患者の生活)に関する史資料の収集整理。具体的には、(5)『衛生局年報』の患者調査をもとに、精神病者の私宅監置・入院保護状況を把握した。「大正8年精神病院法の立法提案とその議論」と題して、『金城学院大学論集』8(1)(2011年9月発行)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目にあたり国会議事録等の資料収集、その他史資料の蒐集、及びその読み込み・分析を中心に行った。さらにその一部を論文にまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度につき、精神監護法、らい予防法および結核予防法の三法の成立過程における、政策的意図の比較研究を行う。紀要等にその成果を発表する予定である。 さらに、三法の実施課程について、継続申請を行い実施過程を明らかにする予定である。
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Research Products
(6 results)