2010 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害のある人の語りによる自己認識の形成過程に関する研究
Project/Area Number |
22530661
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
杉田 穏子 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 准教授 (50270012)
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Keywords | 知的障害者の語り / 人生の語り / ディスアビリティ / 自己認識 / 質的研究 |
Research Abstract |
22年度は、提出した研究実施計画に従って、まず国内5施設を訪問し、調査依頼、説明、打ち合わせをした。5施設とも調査に対して快諾をいただいた。実際の調査は、22年度に2施設(すでに実施ずみ)、23年度に2施設、24年度に1施設の予定である。すでに3施設には調査に関わる業務(インタビュー協力者の選定、協力者の基礎データの記入、協力者や保護者に対する調査依頼の承諾など)を依頼し、資料を入手した。 更に,22年度は主に7~9月にかけて、都内A施設サービス利用者本人18人、保護者4名にインタビューを実施した。さらに2~3月にかけて都内B施設サービス利用者本人16人にインタビューを実施した。なお、当初のインタビュー対象者で、さまざまな事情(体調、緊急の用事など)でインタビューできなかった方に対して、今後も時期を調整し、インタビューを追加していく予定である。承諾を得られた方のインタビューはテープに録音した。A施設サービス利用者への実施分については、テープ起こしを業者に依頼し、納品ずみである。B施設サービス利用者については23年度に依頼予定である。 現在、A施設サービス利用者のデータを分析中である。A施設は平成18年に開設された都内S区の通過型入所施設である。協力者からは、東北など遠方の都外入所施設からの帰省を強く希望して移ってきたり、就職という明確な目標をもって一定期間の訓練目的で入所したという語りがある一方で、長年原家族と生活を共にしていたが、協力者の理解者である家族員の死亡や入院などをきっかけに突然入所させられた語りも聞かれた。また学齢期・青年期には、普通学級や特別支援学級・学校への変更、いじめの経験も語られた。今後、このような語りを社会・家族からのディスアビリティの視点を元に分析し、自己認識の形成過程のいくつかパターンを見いだしたい。
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