2012 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害のある人の語りによる自己認識の形成過程に関する研究
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22530661
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
杉田 穏子 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 教授 (50270012)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 知的障害のある人の語り / 人生の語り / 社会モデル / 障害の自己認識 / 障害学 / ライフストーリー / 質的研究 |
Research Abstract |
24年度は、提出した研究実施計画にしたがって、広島での調査を行った。さらに23年度豪雪の影響で調査できなかった長野での調査を調整したが、今年度も雪が予想されたため、調査先を神奈川県に変更し実施した。これによって本研究で、予定していた国内5カ所で約100名(実際には5施設合計で96名)の知的障害のある人へのインタビューを実施することができた。 24年度は、22年度、23年度までに実施した3カ所53名のインタビューの調査結果をまとめ、学会で「知的障害のある人は自分の障害をどう語るか」というタイトルで研究発表を行った。報告では、ライフストーリーと障害の自己認識との関連を分析した。インタビューを行った53名のうち、インタビュー不成立例14名、尋ね忘れ例6名、「あると思うがよくわからない」認識例11名を除く22名(平均37歳,20-67歳)の回答の結果を分析した結果、本人がどのような認識で福祉サービスを利用したのかによって3つの型に分類した。(1)納得利用型:自らあるいは納得してサービスを利用した人 8名、(2)不満利用型:十分に納得しないままサービスを利用させられた人8名、(3)養護利用型:養護問題でサービスを利用させられた人 6名である。この型と障害の自己認識について検討した結果、知的障害認識のない本人の多くは、①サービス利用時に家族と十分に話し合っておらず(障害の不可視化)、納得しないままサービスを利用し、利用後も生活に不満を感じるような場合、②サービス利用時に障害よりも別の要因(養護)や別の理由を呈示(頭の病気、虐待の回避)されていた場合③知的障害児入所施設と特別支援学校という「健常者との比較の機会が剥奪」されている場合であることがわかった。つまり、「サービスを利用時の認識・利用後の生活経験」が「自己のもつ障害認識」を形成している一要因であると考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度で、調査は全て終了しており、22年度、23年度の調査結果の分析は終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、24年度に調査した2カ所の調査結果を分析するとともに、22年度から24年度までに実施した5カ所の調査結果についてさらに詳細に分析し、報告書を作成する予定である。
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Research Products
(1 results)