2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ心理学を背景としたサスティナブルな心性の発見・促進ツールの開発
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22530668
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
堀毛 一也 東洋大学, 社会学部, 教授 (10141037)
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Keywords | サスティナビリティ / 持続可能性 / ポジティブ心理学 / 主観的ウェルビーイング / 環境配慮行動 / ヒューマン・ストレングス / 世代差 / sustainable well-being |
Research Abstract |
本年度は、昨年2月に収集した、サスティナブルな心性および行動に関する予備的尺度と、妥当性の検証のために収集した「人生の原則」尺度や、主観的ウェルビーイング尺度との関連について解析をすすめ、心性については4因子(世代継承性意識、環境保護価値観、植物親和感、公正合理性)、行動については3因子(環境啓発行動、資源節約行動、日常的エコ活動)を最適解として抽出した。 それぞれの因子得点について、世代(親世代・学生)と性による2要因の分散分析を行った結果、公正合理性と日常的エコ活動因子を除く5つの因子得点において、男子学生の得点の低さが認められ、サスティナビリティ促進ツールのターゲットとなり得ることが示された。また、心性因子を説明変数、行動因子を従属変数として重回帰分析を行った結果、世代継承性意識と環境啓発行動、環境保護価値感と資源節約行動(男性)、植物親和感と日常的エコ活動(男性)・資源節約行動(女性)の間に中程度の関連がみられ、それぞれの心性が異なるサスティナブル行動につながる可能性が示唆された。これらの知見に関しては、第2回ポジティブ心理学国際会議や、第9回アジア社会心理学会で成果報告を行った。また、国内の学会では、親世代、学生世代別に分析した結果について報告を行った。下半期には、サスティナビリティへの心理学的なアプローチに関連する様々な資料収集を行い、予備調査の結果とともに成果を論文として上梓し、ウェルビーイングとの関連についても検討を行った。さらに、岩手県を中心とする大学生の親世代を中心に第2回の調査を行った。この調査ではウェルビーイングの指標を多様化するとともに、震災の影響についても考慮できるよう内容を検討した。次年度はこの調査の解析と、発見・促進ツールの開発に着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は昨年3月まで岩手大学に所属し、研究室が震災の被害を受け、資料が散逸した。さらに昨年4月から東洋大学に異動したが、引っ越しが完了したのは5月で、上半期は資料整理や新たな講義準備に追われ、研究の遂行が著しく阻害された。夏休み以降、遅れを取り戻しつつあるが、半年の遅れをカバーしきれていない。
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Strategy for Future Research Activity |
サスティナブルな心性・行動に関する尺度が少数の因子にまとまったため、発見・促進ツールに含まれる内容の多様性に問題が生じる可能性がある。そのため、今年度計画している調査では、サスティナビリティやサスティナブル・ウェルビーイングに関する理論的立場をさらに精緻化し、その結果を尺度に反映させ、多様な心性・行動をカバーし得るよう検討をすすめる予定である。
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Research Products
(5 results)