2011 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的自己観測度による対人コミュニケーションにおける日本文化的相互賞賛機能の探究
Project/Area Number |
22530674
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
潮村 公弘 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (20250649)
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Keywords | 文化的自己 / 自己概念 / 相互賞賛 / 日本文化 / 比較文化研究 / 対人コミュニケーション / 自己謙遜 |
Research Abstract |
日本的なコミュニケーション行動に関するこれまでの研究は、意識的側面(意識的指標)にのみ偏って検討がなされてきたと言える。本年度の研究目的は、日本的なコミュニケーション行動の規定因について、調査研究(意識的指標)と実験研究(非意識的指標と意識的指標)の両面から検討を行うことであった。調査研究では日本的コミュニケーション行動に対する文化的自己観による予測的関係について検討した。本調査研究では日本的コミュニケーション行動として、「自己謙遜表出」と「察し能力」・「自己抑制能力」を取り上げた。調査対象者は日本人の女子大学生128名。文化的自己観の2つの次元である「相互独立的自己観」と「相互協調的自己観」を外生変数とし、「自己謙遜表出」、「察し能力」、「自己抑制能力」を内生変数とするモデルを構築してAMOS統計パッケージを用いてパス解析を行った。対象者全体に対する分析の結果、相互独立性が高いことは自己謙遜表出にのみ影響し自己謙遜表出を低めていた一方で、相互協調性が高いことは、自己謙遜表出を高め、察し能力のスキルを高め、自己抑制能力のスキルを高めていた。次に自尊心得点の高低によってこの関係性が異なるかについて検討したところ、「高-自尊心群」では相互独立性が高いことは自己謙遜表出のみを低めていた一方、相互協調性が高いことは自己謙遜表出のみを高めていた。次に実験研究(対面型コミュニケーション方式)では、日本人大学生96名(全員女性)が友人同士のペアーで実験に参加した。実験参加者は相互賞賛条件あるいは自己賞賛条件下で友人間での直接コミュニケーションを行い、自己意識・他者意識の変動について顕在指標と潜在指標の両指標から測定がなされた。その結果、顕在指標については予測されていたようにコミュニケーション前後での変動性が低い結果が認められた。潜在指標については結果の詳細について分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度に調査研究を実施し、翌年度に国際学会で発表を行った。また平成23年度には新たな調査研究を実施するとともに、対面コミュニケーション型の実験研究を遂行した。平成23年度に実施した2つの研究のうち、調査研究については平成24年度中に国際学会で研究発表を行うことを予定しており、実験研究については国内学会での研究発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成24年度中に、平成23年度に実施した調査研究の追加調査的な調査研究を実施するとともに、新たな論点に立った調査研究を実施する予定である。また、今後2年間の内に、平成23年度に実施した対面コミュニケーション型の実験研究の知見を踏まえて、さらに問題を深化させた実験研究を実施する予定である。 なお、今後に予定されているこれらの調査研究ならびに実験研究を遂行する上で何かしらの問題点は生じて来ていない。
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Research Products
(1 results)