2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の中核的価値観:情報環境と信念体系の相互作用
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22530678
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
安野 智子 中央大学, 文学部, 教授 (60314895)
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Keywords | 世論 / 価値観 / 政治意識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、有権者の中核的な信念体系(価値観)と、争点態度・政治意識との関連を検討することである。本研究の特色は、価値観(家族観、権威主義、愛国心、寛容性など)と、政治的争点態度との関連をさぐることに加え、近年の政治的価値観調査で研究対象となりつつある性格特性の影響も検討していることである。 2011年度は、2010年度に実施を予定していたものの震災の影響で延期せざるを得なかったインターネット調査を、2012年度分のものも含め、2回に分けて実施した。 調査票に含めた項目は、(1)政治意識(「大きな政府・小さな政府」をはじめとする、主要な政治意識項目。イデオロギー関連項目や政党支持などを含む)、(2)政治知識(時事問題、政治システムに関する知識など広範囲に測定)、(3)メディア接触、(4)自尊心、有効性感覚、孤独感、Big Fiveなどのパーソナリティ尺度、(5)権威主義、愛国心、悲観性などの価値観、などである。 データは現在分析中であるが、単純集計からも非常に興味深い結果が得られている。たとえば近年、公務員数の削減が争点の一つとなり、マスメディアでもよく取り上げられているが、そのためか「日本の公務員数はOECD諸国平均より多い」「日本の公務員数は多すぎる」「日本は『大きな政府』である」といった、誤った認識を持っている回答者が多い。 今後は、こうしたバイアスの規定要因をはじめ、さまざまな争点態度と価値観・性格特性との関連を後半に検討していく。また、価値観と争点態度の安定性との関連を探るため、第1回の調査対象者に、第2回目のネット調査(パネル調査)を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2010年度(2011年3月)に実施予定であった調査が、震災の影響で2011年度に繰り越しとなり、また2011年度前半には研究代表者が産休で業務から離れてしまったため、実質的に2011年度後半からの研究再開となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記理由による研究の遅れを挽回するべく、今年度は、2011年度に実施した調査データの分析を急ぐ。成果は年内に開催される日本社会心理学会で報告の後、査読誌に投稿するよう論文にまとめる。また、今年度は、2011年度調査の回答者を対象としたパネル調査ならびにインターネット実験を実施する。
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Research Products
(1 results)