2011 Fiscal Year Annual Research Report
立場が異なる相手との相互作用を阻む否定的な推測の生起過程と修正方略の実験的検討
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22530679
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
工藤 恵理子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (50234448)
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Keywords | 社会心理学 / 社会的認知 / 視点取得 / 潜在的態度 |
Research Abstract |
立場が異なる相互作用の相手に対して過剰にネガティブな動機の存在を推論したり,ネガティブな反応を予測したりすることは,円滑な相互作用の障壁となっていると考えられる。このようなネガティブな推論の生起メカニズムを検討する目的で実験をおこなった。 立場が異なる相互作用相手に対する認知的視点取得の効果などを検討する実験を実施するために,実験室で実施する適切な共同作業課題の検討を行ったが,適切な課題が見つかっていない。そのため,共同作業を想像する課題を用いた実験を行った。共同作業においてパートナーに比べて大きな貢献をしている登場人物の心境を想像する場合に比べて自分がその人物であったらどう感じるかを想像させた場合,潜在的自尊心が上昇する方向にあった(ただし,統計的には有意ではない)。より共感しやすいストーリー(刺激)を用いることで,この方法によってパートナーに対する認知的視点取得の効果の検討が可能かを検討することが必要である。 上記の通り,共同作業課題が決定していないため,立場の異なる他者に対して,視点取得を試みることが潜在的態度に与える影響を検討した。交通事故を起こした他者に関する記述を読み,その人物の心境を想像する場合と,自分がその人物であったらと想像する場合を比較した。その人物になったつもりで心境を想像した場合,自分だったらと考えたと回答している方が潜在的自尊心が低くなっていた。しかし,顕在的な他者に対する評価は,自分だったらと想像していたほど厳しくなる傾向を示していた。当初予測していた他者の推測において生じるネガティブな推測や評価は,潜在過程と顕在過程で異なっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していたエフォートが十分とれなかったため,後期の研究時間が大幅に不足し,十分な時間をかけて実験の準備をすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験実施上の制約から共同作業を伴う実験課題の選定が予想以上に困難であることがわかった。このことに対応するために,実験室において共同作業を伴う実験課題を実施することに方法を限定せず,共同作業の経験の想起や想像課題などの実施も視野に入れて検討する。
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