2011 Fiscal Year Annual Research Report
説得における相互作用性と受け手の自動的反応に関する研究
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22530680
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 芳昭 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20192502)
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Keywords | 説得 / 相互作用 / 自我関与度 / ミラーリング / 非言語的コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、対面状況で相互作用性のある説得に焦点を当て、受け手の非意識的な反応、情報の提示順序、判断基準の強調などによる説得効果を明らかにすることである。本年度は、前年度に行った2つの実験室実験に基づき、1つの実験室実験と相互作用的説得の内容分析を行った。 前者の実験では、昨年度のものを踏まえて、実験参加者(大学生)にとって自我関与度の高い卒業認定試験の導入を説得テーマとし、独立変数として、(a)卒業試験導入を判断する際に個人的な利益のみに基づくのではなく、広く社会的な視点に立って判断することの重要性を強調すること(有、無)、(b)説得の送り手(実験協力者)による受け手の動作のミラーリング(有、無)を設定した。実験場面では、実験参加者と実験協力者が、試験導入の短所と長所をこの順番で10分間ほど出し合い、その上で、判断基準の要因について操作した。その後、試験導入に関する質問紙に回答させた結果、いずれの主効果、交互作用効果も認められなかったが、相対的に判断基準の強調による効果の傾向が認められた。 次に、それぞれ反対の立場を主張する2人が相手の態度を変容させるためにどのような主張の仕方を行うかを明らかにするために、相互作用的な説得(15分間)の内容分析を行った。卒業認定試験と原子力発電という2つのテーマについて自由に相手を説得するよう大学生ペアに教示した。その結果、相手の主張を反駁して自説を主張、相手の主張とは別に自説の支持論拠を提示、自説を主張する際の条件の明確化などのパターンが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のポイントは、従来の質問紙を用いたテキスト・ベースの説得メッセージの提示ではなく、実際に説得の送り手と受け手とが相互作用を行い、外的妥当性の高い状況で説得に関するデータを取ることである。今までのところ、3つの実験室実験、1つの相互作用の観察を行い、研究の目的に向けたデータの収集がおおむね順調に行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、説得テーマとして「大学の卒業認定試験の導入」だけではなく、最近、話題になっている「秋学期入学」を設定すること、また、実験室実験における独立変数として、説得テーマに関連するポジティブな論拠の多寡、送り手が受け手に対してポジティブな反応(好意的な非言語的コミュニケーションや受け手を誉めることなど)の有無などを設定することを計画している。
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Research Products
(1 results)