2012 Fiscal Year Annual Research Report
交渉相手の感情と解読者の行動:情動知能と動機を用いた自動/戦略ルートの解明
Project/Area Number |
22530682
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐々木 美加 明治大学, 商学部, 教授 (90337204)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 交渉 / 感情 / 感情解読 / 情動知能 / 戦略 |
Research Abstract |
本研究は、交渉者が、交渉相手の感情表出を解読するによって、交渉行動がどのような影響を受けるかを実験的に検討するものである。こうした相手の感情がその解読者の行動に影響する過程として、表出された困惑が解読者の譲歩を促進する効果は、宥和研究で本能的な自動反応と考えられている。一方、交渉研究では、相手の怒りが解読者の譲歩を促す現象は、解読者の戦略的行動として捉えられている。本研究では、これらの自動/戦略ルートの両者を統合的に理解する枠組みを構築する事を目的として実験を行った。実験研究は、相互作用中の感情のやり取りを解明するために必要であり、相互作用の中での感情の機能を理論的に統合する上でも意義がある。本研究では、感情を利用する能力の個人差である情動知能と交渉における戦略動機を軸に、交渉における感情の相互作用をとらえる実験を行った。まず調査により情動知能と交渉動機の尺度を作成し、これらの尺度を用いて交渉における感情の相互作用を実験的に検討した。実験参加者は分配的交渉場面で、感情を表す実験協力者と仮想状況で交渉を行った。その結果、感情解読の情動知能が高いほど戦略動機が強い傾向が示された。更に、怒りを表す相手に対しては、情動知能による戦略動機の喚起に違いは見られなかったが、幸福を表す相手に対しては、感情解読の情動知能が高い者の方が戦略動機を強めることが明らかになった。すなわち、感情解読の情動知能が高い者は相手の感情に対し戦略的に行動しやすく、相手が幸福を表す場合には、相手の感情を考慮して戦略を決めるという戦略ルートを取ることがうかがえる。このことから、相手の感情から行動に受ける影響過程が戦略的であるかどうかは、相手の感情の種類とこれの解読者の感情解読能力によって媒介されることが示唆された。一方、統合的課題を用いた交渉では、感情要因の操作が不十分で、情動知能の効果は有意ではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Comparing Attitudes of Financial Experts and Consumers toward Financial Products2013
Author(s)
Sasaki, M., Nakabayashi, M., Okubo, S., Inaho, S., Komatsubara, A., & Kawabata, D.(Sasaki, M)
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Journal Title
Tohoku Psychologica Folia
Volume: 72
Pages: in press
Peer Reviewed
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