2011 Fiscal Year Annual Research Report
自閉性スペクトラム障害の認知基盤:情報体制化能力の評価とその臨床的意義
Project/Area Number |
22530691
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
住吉 チカ 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20262347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住吉 太幹 富山大学, 医学部附属病院, 准教授 (80286062)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 情報の体制化 / 全称量化表現 / 知識構造 / カテゴリ流暢性課題 / 統合失調症 / 機能的転帰 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder ; ASD)児・者の情報体制化能力について、「入力・保持・出力」の各処理段階にわけ調べることである。2010~2011年にわたり、主に出力段階の情報の体制化について、ASD児の全称量化表現の理解・応答能力を調べた。 2011年度は、ASD児の情報の保持段階における情報の体制化を分析するために、全称量化表現理解の実験と併せて収集したカテゴリ流暢性検査課題の発話データの整理を行った。同時に、ASD児の比較として健常児、及び自閉症スペクトラム障害との連続性が指摘される統合失調症患者も対象に含め、カテゴリ流暢性検査課題の発話データの収集及び整理に努めた。これらデータは、今後コーパス(言語データベース)化し、多次元尺度法やクラスタ分析などによる知識構造の解析に活用してゆく予定である。 さらに2011年度は、発達障害者、統合失調症の情報の体制化の障害と機能的転帰との関連について検討するために、評価手法の開発に着手した。特に生活技能遂行レベルと社会機能・適応レベルに焦点を絞り、前者については、UCSD日常生活技能簡易評価尺度(UCSD Performance-based Skills Assessment-Brief version ; UPSA-B)、後者については、社会機能・社会適応尺度(Social Functioning Scale・Social Adaptation Scale ; SFS-SAS_J)の日本語版を作成した。これら検査バッテリ・評価尺度について、予備的研究を行いその実用性を確認した。現在、統合失調症患者を対象としたデータ収集、及び標準化のために健常者データを収集中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で、ASD児・者の情報体制化能力について、「出力」段階について一定の知見が得られている。また「保持」段階についても、データの収集・整理等の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ASD児・者の対人関係維持の特異性を明らかにするために、特に生物(ドウブツ)の知識構造を分析する。構造化の解析には、先行研究(Sumiyoshi et al, 2009 ; 2006 ; 2005 ; 2001)の手法に基づき、カテゴリ流暢性課題の発話を利用する。またこの分析のためには、比較的大量の発話データが必要である。従って、より大規模なカテゴリ流暢性課題発話コーパスを作成に努ある
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