2013 Fiscal Year Annual Research Report
自閉性スペクトラム障害の認知基盤:情報体制化能力の評価とその臨床的意義
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22530691
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
住吉 チカ 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20262347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住吉 太幹 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, その他 (80286062)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 統合失調症 / 情報の体制化 / 認知表現型 / 語流暢性課題 / 機能的転帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder; ASD)児・者と統合失調症患者の高次認知機能、特に情報の体制化が、両疾患の神経的・遺伝的基盤に由来する認知的中間表現型である可能性を検討することである。 2013年度までに、ASD児の体制化能力を反映する言語行動について焦点を絞り、研究を進めた。そして全称量化表現(「○○はみんな」や「どの○○も」のように∀を表す表現)に対する応答が健常児と異なる可能性を示し、情報の体制化の障害がASDの認知表現型である可能性を見出した。 2013年度以降、発達障害児同様、情報の体制化に特異的な障害を示す統合失調症患者も対象に含め、保持情報の体制化の障害について調べた。また、この分析に必要な語流暢性データベース(コーパス)作成も進めた。統合失調症の情報保持機能を評価するために、語流暢性データベースから、ドウブツカテゴリの発話を抽出し、その知識構造を推定した。具体的には、カテゴリ流暢性課題の発話順序データを非類似度値・行列へ変換し、多次元尺度法やクラスタ分析により、クラスタの抽出・心的カテゴリ構造を推定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた知識構造の解析の結果、統合患者群では健常者群における共起関係やクラスタ構造(一般的な意味記憶構造と推定される)が現れず、意味記憶構造が変性、すなわち情報を体制化して保持することが困難であることが示唆された。精神疾患患者における「保持段階における情報の体制化」の障害について、発達障害児と比較するための有用な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も情報の体制化能力の障害が、ASD児・者と統合失調症患者に共通する認知表現型である可能性を追究してゆく。なお、本研究の2014年度における成果については、第79回日本心理学会(2015, 名古屋)において発表予定である。
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