2010 Fiscal Year Annual Research Report
子育て支援における社会的絆が親子の絆の変容と回復に与える影響
Project/Area Number |
22530692
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄司 一子 筑波大学, 人間系, 教授 (40206264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 希映 湘北短期大学, 人間発達学部, 講師 (90508045)
中井 大介 郡山女子大学短期大学部, 幼児教育学科, 講師 (20550643)
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Keywords | 子育て支援 / グループミーティング / 育児不安 / 虐待不安 / 社会的絆 / 抑うつ |
Research Abstract |
今日の日本では虐待件数は増加の一途をたどっており、いかに子育てする親の育児不安を軽減し虐待を予防するかは、今日、重要な社会的課題である。本研究は保健所等で行われている子育て支援に参加する参加者の子育て状況(育児感情)を分析し、子育て支援の効果を実証し、その効果をあげる要因を明らかにすることが目的である。平成22年度は(1)子育て支援のためのグループミーティング(mother & child group;MCG)の参加者の育児感情を分析し、(2)ミーティング参加の効果を検討することが主な目的であった。 MCGは自助グループに近い形で,月一回、時間半で、一年間地域の保健所・保健センターで保健師が中心となって実施された。実施事業所は合計9ヶ所、参加した母親はプリテスト87名、ポストテスト(1年後)19名(有効回答17名)であった。参加者の平均年齢は32.6歳、第一子の年齢は0歳~3歳であった。ミーティングの実施前と実施一年後の育児感情(子ども観、虐待不安、抑うつ、育児不安)が測定された。 主な結果は次のとおりである。(1)子どもへの否定的感情、虐待不安の育児拒否感、育児不安の制約感、充実感の欠如と抑うつとの間に中程度の有意な正の相関が示された。(2)子どもの数が3人の対象者は1人に比べ有意義に負の育児感情が高く、接触時間が長いと抑うつが高くなる。(3)初回と1年後で育児の非統制感に有意な減少が示された。(4)実施事業所によりミーティングの効果に違いが見られた。 本研究によって、対象者の選定・スクリーニングに用いるべき項目が明らかになり、また、ミーティングの効果が部分的に検証された。今後は(1)調査内容、(2)参加者の継続的参加、(2)参加者のスクリーニングと選定、(3)ミーティングの活動自体の内容(社会的絆)、についてさらに検討を加えることが課題である。
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