2011 Fiscal Year Annual Research Report
子育て支援における社会的絆が親子の絆の変容と回復に与える影響
Project/Area Number |
22530692
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄司 一子 筑波大学, 人間系, 教授 (40206264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 希映 湘北短期大学, 大学部・人間発達学部, 講師 (90508045)
中井 大介 郡山女子大学短期大学, 大学部・幼児教育学科, 講師 (20550643)
都丸 けい子 平成国際大学, 法学部, 講師 (40463822)
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Keywords | 子育て支援 / グループミーティング / 社会的絆 / 育児不安 / 虐待不安 / メンタルヘルス / 居場所 |
Research Abstract |
本研究は育児に困難を抱える親を対象としたグループミーティング(MCG)による子育て支援を通してグループにおいて形成される社会的絆はどのようなものか、またこの社会的絆が親子の絆、親自身にどのような影響や変容をもたらすのかを明らかにすることを目的とする。本研究では、育児困難を抱えた親が子育て支援グループに参加することによって生じる「集団参加者間の情緒的結びつき」「参加者の集団への所属意識」を「親子の絆(Bowlby,1969)」と対比させて「社会的絆」ととらえこの視点から社会的絆を検討する。平成23年度はグループミーティングで生じる社会的絆とその効果の検討を進めることが主な目的である。具体的に研究1では、グループミーティングに参加することによって参加者に生じる「社会的絆」はどのようなものかを検討した。研究2ではMCGに参加することによってもたらされる参加者の変容、具体的には親子関係や子どもとの関わりの変容、育児不安、子ども観、虐待不安、参加者のメンタルヘルスの変容について社会的絆との関係で検討することが目的であった。方法は、地域で開かれるグループミーティングとしてのMCGによる子育て支援であった。 一年間のグループミーティングへの参加者12名を対象とし質問紙調査を実施した。また、ミーティングの参加者の変化について5事例を対象にミーティングを担当した保健師と共に検討した。さらにミーティングを進めた保健師に対して、子育て支援としてのMCGそのものについてインタビューを実施した。検討の結果、参加者のうちミーティングの際、自分の経験を他の参加者のために提供したり、ミーティングに居場所を感じている参加者、他のメンバーとのあたたかいやりとりが可能になる参加者には、育児感情、虐待不安、子ども観の一部、子どもとの関わりに変化が示された。さらに母親自身の生き方の見つめ直しが生じるケースも見られ、グループの中で自己を語る体験やそれによる他者とのつながりが変容をもたらす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいるものの、震災による影響のため、昨年度の年度末のまとめが遅れた。その影響は否定できない。今年度はまとめの年度になるため、子育て支援としてのグループミーティングにおける「社会的絆」の様相とその影響、効果を明確に示し、今後の子育て支援に活かしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、子育て支援における「社会的絆」の質的検討、その影響は明らかにできたが、それに関する尺度化がまだできていない。今後はこれを中心的課題として進める予定である。またグループ参加者に対する継続的インタビューも実施し、グループミーティングの内容のより詳細な検討、ミーティングの効果の検討、支援者の支援のあり方、参加者の変容に関する量的質的検討を進めたい。
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Research Products
(1 results)