2010 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの道徳的自律タイプの発達と心理的適応との関連
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22530693
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
首藤 敏元 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30187504)
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Keywords | 道徳発達 / 自律 / 自己決定 / 適応 / 青年 / 親子葛藤 / 個人差 |
Research Abstract |
本研究は、児童期から成人期にかけての道徳的自律の発達と心理的適応との関連を明らかにする。その際、道徳的自律の型が学年進行と学校移行に伴ってどのように出現し変容するのか、および親子間の社会道徳的対立と対話から捉えた道徳的環境の質とどのように関連するのかについて検討する。これらの分析を通して、道徳的自己の発達に関するモデルを提出する。 平成22年度では,中学生243名と高校生367名を対象に,社会道徳的場面での自由裁量判断を調査し,その傾向と自己形成関連要因,および社会体験度との関係を検討した。調査協力者は社会道徳的場面に関する28項目の行動について,<理想とする決め方>と<実際の決め方>を5段階で回答した。自己形成に関する尺度として,自尊感情尺度と道徳的指向性尺度を用いた。主な結果として,まず,自由裁量判断は理想>実際であり,親権威の強い場面において性差が有意になり,男子の方が自由裁量判断が強かった。次に,<理想>と<実際>の両方において,親権威の強い場面での自由裁量判断が高いほど,自尊感情が高くなることが分かった。また,自己管理場面での自由裁量判断が強いと道徳的無力感が高くなった。考察として,中高生においては,親の権限の強い場面であっても,自己決定権を発揮することが彼らの自尊感情を高めることが示された。今後は,道徳的自律の発達を自己形成の観点から検討を加えると同時に,その発達的文脈としての親子葛藤について親子の相互影響性を考慮に入れた分析が必要となるだろう。
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Research Products
(5 results)