2010 Fiscal Year Annual Research Report
複数ラベルが与えられる状況における子どもの語彙獲得メカニズム
Project/Area Number |
22530702
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
村瀬 俊樹 島根大学, 法文学部, 教授 (70210036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 哲生 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 研究主任 (30418545)
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Keywords | 語彙獲得 / 入力言語 / 確率統計情報 / 育児語 / ラベル / 1歳児 / 絵本場面 / 注視時間 |
Research Abstract |
日本の養育者が、1歳児に対して育児語と成人語を使って複数のラベルを提供しているのかどうか検討した。テレビモニターに提示された21対象の絵を見ながら養育者が子どもに話しかける発話を分析した。母親が育児語を使用するときは、「~って」という助詞を伴うことや、身ぶりを伴ったり、特有のプロソディーで発話されるなど、ラベル以外の機能を持つ発話として用いられることも多いことをすでに明らかにしていた。そこで、本年度は、20-21ヶ月児の母親30名を対象に、ラベルとして使用される育児語と成人語がどの程度あるのかを検討した。その結果、平均約20%の絵に対して、母親は、ラベルとして育児語と成人語を併用していた。ラベルであるかどうかを問わなければ、育児語と成人語の併用は約50%の絵に対してなされていた。したがって、日本の母親は、複数のラベルを1歳児に対して提供しているが、育児語は、ラベルとして使用されるばかりでなく、サウンドエフェクトなどその他の機能を持つ発話として用いられることも多いことが明らかとなった。 複数のラベルを1歳児がどのように処理するのかについては、1つの新奇対象に2つの新奇ラベルを与え、選好注視法によって、それぞれのラベルと対象を対応付けているのかどうか検討した。20ヶ月児12名を対象に実験を行った結果、20ヶ月児はどちらのラベルについても対象との対応付けをしているとは言えない結果となった。ただ、この研究で用いられたラベルは成人語的な2音節の単語であったので、今後、育児語的な音韻特徴を持つラベルを使用して、複数ラベルの獲得が可能であるかどうか検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)