2010 Fiscal Year Annual Research Report
リーダーシップと集団効力感が学校組織の力量向上に及ぼす影響に関する心理学的研究
Project/Area Number |
22530703
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渕上 克義 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20202294)
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Keywords | リーダーシップ / 集団効力感 / 対人交流記憶 / 教師集団 / 協働 / 学校組織 / 文脈的行動 / 校長 |
Research Abstract |
研究課題の初年度である本年度の目的は、三つであった。まず第一は学校組織の力量向上とリーダーシップ、集団効力感の関係に関する先行研究についての文献を収集し、組織の力量向上にリーダーシップと集団効力感がどのように関連しているのかについてまとめ、これまで看過されてきた問題点について整理した。第二の目的は、学校組織の力量向上に関する教師による文脈的行動の構造を明らかにすることであった。教師の文脈的行動を構造的に把握するために、中学校教師を対象とした質問紙調査を実施した。分析の結果、教師による文脈的行動は、(1)個人への支援、(2)環境作りへの支援、(3)組織への支援の三つの構造から構成されていることが明らかになった。さらに教師による文脈的行動は学校組織の協働性を高め、結果として組織の力量向上につながることが示唆された。得られた研究成果については、平成23年度の教育心理学会において発表する予定である。集団効力感の内容を構造的に把握して、集団効力感のどのような側面が、教師の仕事に対するコミットメントに肯定的な影響をもたらすのかについて、教師一人一人を対象とした研究だけでなく、学校ごとを分析対象とした研究を実施した。今後詳細に分析を行う予定であるが、教師の仲間意識の向上だけではなく、授業などの教育活動における協働性や校務分掌・保護者対応などの連携がなされてこそ、教師の仕事に対するコミットメントや職務に対する誇りが向上することが期待される。研究成果については、日本グループ・ダイナミックス学会や日本教育心理学会などで発表する予定である。
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