2013 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児の児童-思春期発達移行における心理社会的適応支援のあり方に関する研究
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22530707
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠矢 浩一 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (50242467)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発達障害 / 家族 / きょうだい / 祖父母 |
Research Abstract |
平成25年度は発達障害児の支援プログラムおよび、リハビリテーションプログラムに参加する保護者に対するインタビュー調査を通して、発達障害児およびそのきょうだい児の心理的適応に及ぼす、障害同胞ときょうだいの関係性の影響、および、祖父母との関係性のあり方が障害児の母親の心理的適応に及ぼす影響について詳細な分析を行った。その結果、きょうだい児は、同胞関係の中で様々な葛藤を抱えつつ、それを自己内で調整しながら自身の心理的適応を保っていることが示された。小学生から高校生へと発達するにつれ、「一緒に遊ぶことへの両価的感情」、「面倒を見ることの負担」、「世話をすることへの不満」といったネガティブな感情をきょうだい児が抱えているとする母親の認識から、障害をもつ同胞に対する「うらやましさ」をきょうだい児が抱えているという認識、あるいは、障害をもつ同胞が持つ、むしろ、高い能力に対する劣等感というきょうだい児に対する新たな認識へと発展し、やがて、きょうだい自身が自らの心理的葛藤から適切な距離をとりつつ、障害同胞との関係性を保つようになるとの認識へと変化するプロセスが明らかとなった。また、祖父母との関係性については、祖父母が障害児の母親の子育てを見守るといった積極的関与とはいえない関与性や、祖父母が自分たち親子の見守り役として存在しているという認識そのものが、母親の心理的サポートとなりうることが示された。とりわけ、母親の困り感は子どもが小学生などの低年齢の段階では高く具体的なサポートをより多く必要としている一方で、子どもが成長した段階では祖父母の高齢化とともに具体的サポートは得られにくくなるものの、祖父母のサポート源としての存在に対する認識そのものが、強い価値を持ち始めることが示された。本年度の研究より発達障害児の発達移行におけるきょうだい支援および、母親の対祖父母関係支援の重要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に従って、調査・インタビューを実施できており、得られたデータをまとめ、分析できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度の26年度は、学齢期から思春期への移行過程に認めら得る対象児童の行動特徴の変化過程を、療育記録の分析を通して推し進め、障害児の発達過程各段階において必要な支援方法についての考察を多角的に実施する。
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