2011 Fiscal Year Annual Research Report
教師の勇気づけ実践が児童の学級適応及び学級集団過程に及ぼす影響
Project/Area Number |
22530709
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
古城 和敬 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (00145351)
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Keywords | 勇気づけ / 学級適応 / 教師期待の認知 / 教師と児童の人間関係 / 学級介入研究 / 生徒指導 |
Research Abstract |
本研究は,教師の勇気づけ実践が児童の学級適応及び学級集団過程に及ぼす影響を実験的に検討することを目的としている。平成23年度は,勇気づけの実践学級の教師(1名)と特定の抽出児童(4年生児童3名)に面接を行い,彼らの学級等に対する態度構造の変容過程を追跡的に記述するとともに,従来のデータを加えて勇気づけ実践学級(11学級)と統制学級(ll学級)め間の学級適応に関する各測度(「教師との関係」「級友との関係」「学習意欲」など)の差異を検討した。 勇気づけトレーニングは,従来と同様に9セッション計20時間を要した。教師には,トレーニング終了時点から,担任する学級で勇気づけを実践するよう求めた。学級適応の各測度は,実践前,実践中(1ヶ月経過時),および実践後に質問紙(小冊子)を配布して測定した。 まだ標本数が十分とはいえないが,計22学級の学級単位のデータで,条件(実践学級vs.統制学級)×測定時期(実践前vs.実践中vs.実践後)の2×3の2要因混合分散分析を実施した。その結果,「教師期待認知」測度において2要因の交互作用が有意であった(F=3.60,df=2/40,p<.05)。下位検定を行うと,実践前では両学級間に差はなかったが,実践後においては実践学級の方が統制学級より教師期待認知得点が高いことが認められた。その他の測度では交互作用は有意でなかった。この結果は,勇気づけ実践が児童の学級適応に肯定的な効果を及ぼすことを部分的に支持している。今後より多くの標本を加えてさらに検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は内的妥当性が高く,研究仮説も支持される方向にある。しかし,本研究は研究協力を承諾した教師に勇気づけのトレーニングを20時間行い,その後に2ヶ月間学級での実践を求めるため,教師の負荷が高く,集団で行うトレーニングの日程調整が難しいこともあって,目標とする標本数に達していない。この点を勘案して,(2)と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は3カ年計画で,今年度が完成年度にあたる。研究遂行上の問題点としては,上でも述べたが,一定数以上の標本を確保することである。今年度は,研究協力者の募集時期を早め,募集人員の規模も増やして対応する予定である。
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Research Products
(1 results)