2011 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルガー障害がしめす情動体験の問題と修整方法についての検討
Project/Area Number |
22530711
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
須田 治 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (50132098)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 一夫 東北大学, 教育学研究科, 教授 (30173652)
|
Keywords | 感情・情動療法 / 情動的やりとり / 社会・情動発達 / アスペルガー症候群 / 発達支援 / 情動障害仮説 / 広汎性発達障害 |
Research Abstract |
研究の成果 1 支援実験)まずアスペルガー障害の人びと(青年・成人)を対象として、他者の情動を読み取るような台本をもちいて対応を調べ,それにかかわり心理援助をなした。それを筋弛緩法と組み合わせて行った。この間の行動の過程と発話内容を分析した。まだ内容分析は修了していない。 当事者には感情の理解においてかなり微妙な結果を示している。とくにTAS-20とよばれる失感情症傾向(アレキシサイミア傾向)尺度についてはさらに検討が必要だといえる。成果の一部は,アスペルガー症候群の情動・感情障害仮説を検討することが方法的に可であることを示した。この点で意義があった。もうひとつの成果は,このような支援実験の文脈で見られる障害特性の重さと,そのケースの抱える他者に示す危機やアクティングアウトは,単純に相関的ではないということが見出されたということである。 2 調査研究と面接)典型発達とみなされている人びとにたいしてかんたんなデータは得ている。相関も見いだしていて自閉症傾向とTAS-20とよばれる失感情症傾向尺度との関係はいよいよ重要になったが,尺度そのものの妥当性にかかわってさらに丁寧な検討をする必要がでてきた。 3.幼児研究)本郷が進めてきた保育場面でのチェックリストから,気になる子どもといえるような問題化する兆候にたいする検討も併せてなされてきた。 今年度の研究から見いだされたことは,支援実験的な文脈でケース分析を行うことが,今後の情動・感情障害仮説を検討するうえで極めて重要であるということがはっきりしてきたということである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災などの影響があったが,それにも関わらず二人の研究者ともデータ解析のような基礎的な作業を進めた。個別のケースごとに進め,24年度に論文作成ができるところまで進んだので,一定の進展があったとみている。
|
Strategy for Future Research Activity |
青年・成人のアスペルガー症候群の人びとにたいする論文作成においては,発話内容の分析だけではなく,筋弛緩法によるリラクゼーションの効果についての結果をもまとめて,システム的な適応として取りあげることが必要であることが明らかになってきた。また幼児のアセスメントの研究は,動きの多い保育現場で簡単に容易にとれるという方法的特性とデーター的な詳細化とのあいだでバランス良いものをさらに検討することにしたい。
|