2010 Fiscal Year Annual Research Report
「行為-出来事」場面におけるMENTALIZINGの発達過程の検討
Project/Area Number |
22530713
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
中野 茂 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (90183516)
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Keywords | mentalizing / 乳児 / 意図の読み取り / インターサブジェクティビティ / 出来事 / segmentation |
Research Abstract |
本研究は、ある人の行為が生み出した出来事の背後にはその人の動機・意図があること、つまり、出来事は、行為者の心理的な作用の反映であると捉えること、さらに、より一般的に他者を「心を持つ存在」として捉える力(mentalizing : Frith & Frith, 2003)の発達的起源とその過程を解明することを目的としている。これまでの研究からは、「自・他・対象」の三項関係の研究(間主観性、共同注意、社会的参照など)からは、心を持つ存在として他者を捉えるようになることが0歳の終わり頃に出現することが示されてきた。しかし、三項関係の第三項が従来の"モノ"ではなく、"コト"である場合もあり得るだけではなく、それが人為的な出来事の場合にこそ、その行為者の意図の了解が必須だと考えると、モノの共有よりも先にコトの三項関係が発達をするだろうと予想される。そこで、本研究では、50名の乳児とその母親との3、6、9、12か月のときの家庭での母子のやりとりを母親自身が撮影をする「ビデオ育児日記法」によって得た映像資料から、乳児が「母親」か「物」を見た時点から前後15秒、全体で30秒の事例を各月齢で抽出して、母親の視線、表情、要求、ジェスチャー、応答、及び、乳児自身の表情、要求、対物操作を1秒単位でコーディングを進めている。分析はまだ途上であるが、他者の意図に応じようとする動機が発達するにつれ、「物を見る~次の行為」と「母親を見る~次の行為」とは、後者の方がより長い時間経過を必要とするだろうと予測される。これらのデータから、物を見る場合と母親を見る場合の乳児の「次の一手」に違いがあることを解明していく。
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