2011 Fiscal Year Annual Research Report
「行為-出来事」場面におけるMENTALIZINGの発達過程の検討
Project/Area Number |
22530713
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
中野 茂 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (90183516)
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Keywords | 人由来の出来事 / 物由来の出来事 / mentalizing / 他者の意図の理解 / 乳児 / インターサブジェクティビティ |
Research Abstract |
本研究は、ある人の行為が生み出した"人由来の出来事"の背後には、"物宙来の出来事"とは異なり、行為者の動機・意図があること、つまり、『何かをしようとして』、そのような出来事を生み出したと受け止める力(mentalizing:Frith&Frith,2003)の発達的起源を、乳児と母親とのやりとり場面で認められた"人由来の出来事"と"物由来の出来事"への乳児の反応を比較することで、その過程を解明することを目的としている。同時に、従来の研究では、「自-他-対象」の三項関係の研究(間主観性、共同注意、社会的参照など)からは、心を持つ存在として他者を捉えるようになることが0歳の終わり頃に出現することが示されてきた。.しかし、三項関係の第三項は、従来いわれてきた"物"だけではなく、"事"(人由来の出来事)である場合もあり得るばかりではなく、事は、発達的に、物に先行し、それが人由来の出来事の場合にこそ、その行為者の意図の了解が必須だと考えると、モノの共有よりも先にコトの三項関係が発達をするだろうと予想される。そこで、本研究では、48名の母親が子どもが3、6、9、12、15か月のときに家庭での自分と子どもとのやりとりを撮影する手法、「ビデオ育児日記法」(中野、1998)によって得た映像資料から、乳児が「母親」か「物」を見た時点から前後15秒、全体で30秒の事例を各月齢で抽出して、母親の視線、表情、要求、ジェスチャー、応答、及び、乳児自身の表情、要求、対物操作のカテゴリーに1秒単位でコーディングをした。2011年度は、これらの延べ240事例について、コーディングが完了し、2012年度は、集計、分析を行い、結果を得ると同時に、日本発達心理学会等で報告をする予定である。データを概観した印象としては、他者の意図に応じようとする動機が発達するにつれ、「物を見る~次の行為」と「母親を見る~次の行為」とは、後者の方がより長い時間経過を示すようになるようである。つまり、物由来の出来事への反応と人由来の出来事とでは、乳児の「次の一手」に違いがあるのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年次計画に沿って進捗をしている
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度にコーディングが完了した延べ240事例について本年度は、集計、分析を行い、結果を得ると同時に、日本発達心理学会等で報告を行う。
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Research Products
(1 results)