2011 Fiscal Year Annual Research Report
成人期女性の過去から現在の対人的経験の認知に関する縦断的検討
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22530721
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山岸 明子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40220248)
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Keywords | 縦断的研究 / 成人期女性 / 対人的経験の認知 / 対人的枠組み / 生育史 / レジリエンス |
Research Abstract |
昨年と同様、1994年に看護短大生に行った質問紙調査とほぼ同じものを、17年後30代後半になった成人女性に行い、青年期から成人期になり(17年が経過)、看護師の仕事、結婚・出産・育児等の経験をする中で、対人的枠組みや対人的経験の認知がどのくらい変動するのか、安定しているのかについて検討した(昨年とは異なったコホートに対する調査である)。 被調査者は1994年の看護短大3年時に生育史を書き、質問紙調査にも回答した99名の内、連絡がとれた者に調査依頼を行い、それに応じた40名。更に同意が得られた19名には面接調査も実施した。質問項目はIWM尺度、エゴグラム、両親の養育態度、幼少期から各時期の全体的適応感、時間的展望尺度、レジリエンス尺度、現在の満足感、自分の変化に関する自由記述。面接は卒業後の経過、つらかった・大変だったこと、自分にとって重要だったこと、子育て・仕事の意味、生育の過程、自分の変化等についての半構成的面接(所要時間は約1時間)。被調査者の中には1994-1996-2001-2005の調査にも回答し、5回目の参加になる者もいれば、1994年以来の参加者もいる。 各尺度別に合計点を算出し、1994年の得点と比較し、両者の相関係数を算出した。1)AV(回避)得点以外は相関が有意であり、IWM総点、SE(安定愛着)、NP(養護性)、父親の暖かさは.6~.7という高い相関が見られ、17年経っても以前の傾向と関連していることが示された。2)t検定ではA(現実性)だけが有意で、2011年の方が得点が高くなっていた。3)IWM総点の2時期間の変動に関しては「ほとんど変わらない者」が約1/3見られる一方、10点以上変化した者も約1/4見られた。7年間での変動(1994~2001年)と比べると「ほとんど変わらない者」の割合が増えていた。4)各時期の適応感に関して1994-2011年での回答のズレは少なく(幼児期のみいくらかあり)、短大時代以外は17年たっても以前の傾向と関連していることが示された。今後どのような者の得点がどう変化するのか、面接で得られたデータも使用して分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面接をもう少し多く実施したかったが、夏の調査時、被調査者の仕事の都合や子どもの病気等でできなくなる場合があった。再度2月にもそれらの被調査者に依頼をしたが、インフルエンザ罹患等のために結局できず、19名で分析を行うことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
22年度に行った質問紙調査19名、面接調査11名(但し縦断的検討ができるのは各15名と9名)、および23年度に行った質問紙調査40名、面接調査19名のデータに関して、面接のプロトコルを用いてより詳細な分析を行い、どのような者の得点がどう変化しているのかの検討を行う。
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