2010 Fiscal Year Annual Research Report
「読み聞かせ」活動の発達的変化と言語リテラシー獲得への影響過程の分析
Project/Area Number |
22530722
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
田島 信元 白百合女子大学, 文学部, 教授 (90002295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 孝広 白百合女子大学, 文学部, 教授 (00190778)
鈴木 忠 白百合女子大学, 文学部, 教授 (40235966)
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Keywords | 読み聞かせ / 社会的相互作用 / 自己内相互作用 / 母子関係 / 愛着形成 / 言語リテラシー / 言語発達 |
Research Abstract |
本年度の研究としては、0-6歳の114名の母子ペアを対象とし、家庭ないし施設での母子間の読み聞かせ活動の観察および日常生活における読み聞かせ活動についての母親質問紙、面接による結果と、子どもの言語リテラシー操作能力、言語発達指標、読書能力といった外部指標との間の相関関係を吟味することにより、読み聞かせ活動の言語リテラシー能力の発達への影響のあり方を推定した。その結果、0-1歳台の第一段階から2-6歳台の第二段階に至る「読み聞かせ活動の構造(母子の活動構造)と機能(活動の効用)」の発達過程が同定された。第一段階では、0歳台は絵本を媒介とした母子の対話的活動が中心であるが、1歳台になると子どもは黙って聞くことが多くなり、対話的活動の内面化の始まりが示唆された。この段階の読み聞かせ活動はまず、母子間の情動的な信頼関係(愛着関係)の形成を促進しながら、子どもが母親の援助を受けて共同注視、「子-絵本-母」という三項関係という社会的活動の中での学習環境設定を行うことから始まり、次第に、社会的活動の内面化を通した個人内対話を通しての個人的活動へと進んでいく過程を辿り、その過程を通して全般的な言語発達に影響を及ぼすことが推測された。第二段階では、熟考しながら黙って聞くような個人的活動の深まりとともに、読み聞かせ後の母子間の活動(描画、言語的表現活動・ごっこ活動)といった社会的活動への展開が見られ、個人→社会→個人的活動→・・・という循環的変容を通して読書活動(言語リテラシー能力の達成)へと進んでいくことが推測された。言語発達についても、言語概念発達とともに社会的発達の諸指標と関連しており、認知発達とともに、自己表現活動を通した社会情動的活動の発達にも影響を及ぼす時期であると考えられた。以上の結果から、読書活動は、自分で自分に読み聞かせる過程であることが推測され、読み聞かせ活動の重要性が強く示唆された。
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Research Products
(6 results)