2011 Fiscal Year Annual Research Report
「読み聞かせ」活動の発達的変化と言語リテラシー獲得への影響過程の分析
Project/Area Number |
22530722
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
田島 信元 白百合女子大学, 文学部, 教授 (90002295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 孝広 白百合女子大学, 文学部, 教授 (00190778)
鈴木 忠 白百合女子大学, 文学部, 教授 (40235966)
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Keywords | 読み聞かせ / 社会的相互作用 / 自己内相互作用 / 母子関係 / 愛着形成 / 言語リテラシー / 言語発達 / 歌いかけ |
Research Abstract |
本研究は、絵本の読み聞かせ活動という養育者と乳幼児の相互行為の構造と機能について、乳幼児の発達にしたがって変化していく過程を通して明らかにするとともに、子どもの読書力あるいは言語リテラシー操作能力を中心とした言語使用能力の獲得に及ぼす影響過程を明らかにすることを目的とする。23年度は、22年度の読み聞かせ活動と子どもの言語リテラシー能力獲得の関連についての知見をもとに、より詳細な読み聞かせ活動のプロセスそのものを描写することで、読み聞かせ活動の言語リテラシー獲得への影響に関する知見の吟味を目的として3つの課題分析が開始された。 一つは家庭訪問時のビデオ記録から複数ケースを選択し、母子の読み聞かせのプロセスそのものをマイクロ分析することにより、目的に関わる母子の行動を質的に描写することであった。その結果、第一段階(0-1歳代)では、0歳台は絵本を媒介とした母子の対話的活動が中心であるが、1歳台になると子どもは黙って聞くことが多くなり、対話的活動の内面化の始まりが示唆された。第二段階(2-5歳代)では、個人的活動の深まりとともに、読み聞かせ後に母子間の社会的活動への展開が見られ、社会→個人→社会的活動→・・・という循環的変容を通して言語リテラシーの達成へと進んでいくことが推測された。この結果は、22年度の分析結果からも推測されたが、質的な検証の意義は高い。 第二には、0歳代の7ケースの母子ペアを新たに選定し、縦断的に資料収集していくことで、より発達的な因果性を検討することであった。毎月の観察を約半年間観察したが、第1段階の特徴を詳細なかたちで再吟味できたと考えている。 第三として「歌いかけ」活動と「読み聞かせ活動」の関係について分析したが、その結果、「歌いかけ」は情動発達に寄与する側面が強いが、リテラシー獲得への両活動の相互影響的効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(22年度)の横断的な観察研究が、0~6歳に渡る広範囲なもので、分析そのものが23年度にまで繰り越している部分があるとともに、23年度の2つの新分析も加わったこと、さらに新たに縦断ケースデータ収集を開始した点で、予定よりやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(24年度)は、上記マイクロ分析と、縦断資料収集の継続および分析開始を行う。さらに、新しい視点としての「歌いかけ」活動と「読み聞かせ活動」の関係についての23年度の分析が予想以上に興味深い結果を示唆したことから、この分析も継続していくことにしている。その上で、当初計画にあった母子の読み聞かせ活動への介入的、実験的観察も実施することになっているが、この点については、観察ケース数と観察年齢を削減して行う予定である。
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Research Products
(7 results)