2010 Fiscal Year Annual Research Report
専門家が用いるジェンダーセンシティブコミュニケーションに関する臨床心理学的研究
Project/Area Number |
22530732
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
奥野 雅子 安田女子大学, 文学部, 准教授 (60565422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 啓三 東北大学, 教育学研究科, 教授 (70149467)
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Keywords | コミュニケーション / 専門家 / ジェンダー / 性差 / 心理臨床面接 |
Research Abstract |
心理療法や医療などの臨床場面で、専門家がクライアントを支援する際に、性差やジェンダーの影響を考慮せずに解決を図ることは難しいことが指摘されている。しかし、専門家とクライアント間の性差やジェンダーがどのように影響し、専門家はどう対応すべきかについての研究は圧倒的に不足している。本研究では、専門家がクライアントを効果的に支援するために、性差やジェンダーを踏まえた専門家が用いる有効なコミュニケーションを検討する。当該年度の研究では、心理臨床面接において性差やジェンダーに関する問題とその解決について、専門家として臨床心理士が用いるジェンダー・センシティブ・コミュニケーションのあり方に焦点を当てた。臨床心理士が面接場面でクライアントを支援する際のコミュニケーションに対し質的な検討を行うことを目的とした。本研究では、5年以上の臨床経験のある臨床心理士8名(男性4名、女性4名)を対象に、半構造化面接法でインタビューを実施した。逐語化したインタビューデータをグラウンデッド・セオリー・アプローチの手続きに従って分析した。その結果、臨床心理士が面接のなかで直面する性差やジェンダーの問題に関して、「セラピューティックな関係の形成と維持に関する問題」(ラポール形成の困難・ライバル的関係・転移感情の扱い方)と「女性・男性特有のトピックを扱う問題」(性に関するトピック・女性特有のトピック)があり、その問題解決では「協働関係の構築」(男性的コミュニケーション・ニュートラルな立場・ThとClの距離感)と「面接構造」(面接構造の提示・面接構造の変化)というカテゴリーが生成された。()内はその下位に生成された概念を示す。尚、今年度はさらに精緻化するためにデータ数を増やして追加インタビューを行い、質問紙調査も実施する。
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