2011 Fiscal Year Annual Research Report
教員養成段階における包括的自殺予防プログラムの開発的研究
Project/Area Number |
22530740
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
新井 肇 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (60432580)
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Keywords | 自殺予防 / バーンアウト / ソーシャルサポート / レジリエンス / 首尾一貫感覚 / 教員養成 |
Research Abstract |
教師の自殺の背景について、1)統計的因果分析と個別的な事例研究とを有機的に結びつけることで捉え直し、2)教師の自殺の促進要因として考えられるバーンアウト(teacher burnout)と、抑止要因として考えられるソーシャルサポート(social support)およびレジリエンス(resilience : 精神的回復力)SOC(sense of coherencc : 首尾一貫感覚)との連関構造を明らかにする。そのうえで、教師の自殺予防の具体化に向けて、3)援助希求性とレジリエンス、およびSOCを高めるにはどのような側面への働きかけが有効であるかを明確にし、4)将来教師をめざす学生に実効性をもつ教員養成段階における包括的自殺予防プログラムの開発を試みることが本研究の目的である。開発は次の3段階で進める。(1)教師の自殺の現状把握と自殺予防プログラムの実施状況の調査(平成22年度)(2)教師をめざす学生のための包括的自殺予防プログラムの試行、および効果検証(平成23年度)(3)包括的自殺予防プログラムの教材化(平成24年度)。 本年度は、本学大学院専門職学位課程に所属する現職教員(45名)を対象に、教師向け自殺予防プログラムを試行的に実施し、その必要性や内容に関して自由記述による効果検証を行った。必要性に関しては9割を超える支持を得た。また、「自殺という言葉を身近なものとして考えることが必要」「どの子にもいろいろな因子が重なれば自殺が起こることを知った」「学校教育の中で、全職員がすべての児童・生徒に対して行っていくことが大切」などの感想が寄せられた。そこで得られた成果をもとに、学校における自殺予防教育の方向性と課題について、第35回日本自殺予防学会総会一般演題において発表した。 24年度は、教員養成段階の学生を対象とする「教師自身のための自殺予防プログラム」の教材化を図り、学部授業科目「生徒指導論」においてプログラムを実施し、教師の自殺予防における有効性の検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教師の自殺の現状把握と研修における自殺予防プログラムの実施状況調査、教師の自殺予防教育に対する意識調査を実施し、そのまとめを行った(平成22~23年度)。また、開発した「教師をめざす学生のための包括的自殺予防プログラム」を専門職学位課程に学ぶ現職教員を対象に試行的に実施し、自由記述に基づく効果検証を行った(平成23年度)。平成24年度において、包括的自殺予防プログラムの教材化を図り、学部授業「生徒指導論」において本格実施し、レジリエンスや首尾一貫感覚、自殺親和性等に関する統計的因果分析に基づく効果検証を行うことが求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
教員養成段階の学生を対象とする「教師自身のための自殺予防プログラム」の教材化を図り、学部授業「生徒指導論」において本格実施し、実施前後におけるレジリエンスや首尾一貫感覚、援助希求性や自殺親和性の変化により効果検証を行う。そのうえで、プログラムの精緻化を図り、教材化されたプログラムを大学および学校教育現場に向けて発信する。
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Research Products
(3 results)