2012 Fiscal Year Annual Research Report
感情の筆記による心身の健康増進・高次認知機能向上に関する認知行動論的研究
Project/Area Number |
22530743
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 健二 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (10318818)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 感情の筆記 / 健康増進 / 高次認知機能 / 認知行動論 / 前頭前野血流量 |
Research Abstract |
昨年度の研究ではサンプル数が少なかったため,本年度は,サンプルを追加して,昨年度の研究目的を再検討することが第1の目的であった。第2の目的は筆記開示時の脳内血流量の変化を検討することであった。 外傷後ストレス反応を測定する尺度において中程度以上の得点を示す大学学部生(33名)が実験参加者であった。実験参加者は1日20分の筆記開示を行った。構造化開示群(12名)は,セッション1で自身の体験したトラウマの中で最も苦痛を感じる瞬間を開示し,その時に浮かんだ否定的思考を筆記した。セッション2では,類似した状況にいる友人に対する助言の筆記を通じて距離化の促進が図られた。セッション3では再度,セッション1と同様に苦痛を感じる場面とその時に浮かんだ否定定期思考とを筆記した。自由開示群(9名)は,従来から行われているように,自由にトラウマに関する感情や思考を筆記した。統制群(12名)は,その日の予定について感情を交えずに筆記した。操作の妥当性を確認すると,構造化開示群における距離化は一定レベル促進されているが,統計的に有意ではないことが示された。外傷後ストレス反応については,全群で実験前からすべてのフォローアップ測定時にかけて有意な得点の低減が見られ,構造化開示群固有の効果を見出すことは出来なかった。しかしながら,距離化を促進する手続きに一定の効果が示唆された点において本研究は意義を有する。今後の課題としては,より距離化を促進する構造化開示群の手続きの開発が必要と考えられる。 また,前頭前野血流量について,ストレスフルな出来事を想起時と,その構造化筆記開示時とを比較すると,筆記開示後に出来事に関する主観的苦痛度が低減した実験参加者において,その低減が示唆された。本研究結果は,筆記開示時の生理心理学的機序の解明にとって意義深い。 本研究の成果および課題については国内学会において発表された。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)